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アップル増収増益、台湾供給網には警戒信号


ニュース 電子 作成日:2018年5月3日_記事番号:T00076804

アップル増収増益、台湾供給網には警戒信号

 アップルが1日発表した2018年第2四半期(18年1~3月期)の業績は、売上高が前年同期比15.6%増の611億3,700万米ドル、純利益が25.3%増の138億2,200万米ドルと増収増益の好決算だった。アップル株が4.4%の大幅上昇となるなど市場の歓迎を受けたものの、決算内容を分析すると、台湾のサプライチェーン企業にとって警戒信号が潜んでいることがうかがえる。3日付経済日報などが報じた。

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 最大の衝撃は、iPhoneの販売台数(5,221万7,000台)が前期比で32%も減少したことだ。新機種がiPhone7とiPhone7プラスの2機種だった昨年同期と比べ、今年はiPhoneX(テン)、iPhone8、iPhone8プラスの3機種をそろえたものの、前年同期比の伸び率もわずか3%にとどまった。出荷不振は台湾サプライチェーンにとって、生産ラインの稼働率低下に直接結び付く問題だ。

 また、アップルが発表したスマートフォンの平均販売単価は728米ドルで、市場予測の742米ドルを下回った。

 米市場調査会社のコンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ(CIRP)によると、今年1~3月期のアップルスマホの機種別販売台数割合は、iPhone8とiPhone8プラスが44%で最大、次いで16年発売のiPhone7とiPhone7プラスが20%、昨年、iPhone発売10周年記念モデルとして投入したiPhoneXは16%にすぎない。ハイスペック機種の成長が鈍いことは、台湾サプライチェーンにもたらされる利潤が限定的となることを意味している。

 ちなみにアップルは1~3月期の在庫額が76億6,200万米ドルと、前期比73.3%増、前年同期比では2.63倍と著しい増加を見せた。iPhoneXが高価過ぎて売れないことは一目瞭然だ。

サービス部門に注力

 また、アップルは今回、Apple Music、App Store、iCloudなどサービス部門の売上高が91億米ドルと予測を上回った。同社は同部門の売上高を21年段階で500億米ドル規模に拡大する方針で、すなわち非ハード分野への注力姿勢を強めることを意味する。台湾サプライチェーンはアップルがサービス部門を成長させても何ら恩恵はなく、ハード部門は今後もコスト低減方針に変化はないとみられるため、協力メーカーは引き続き値下げ圧力に耐えなければならないようだ。

 あるサプライヤーは、「ハード製品は高価格を維持しつつ、コンテンツサービスに注力していくアップルの戦略は明確だ。サプライヤーは大規模な生産設備をそろえても、製品出荷が低迷すれば投資を回収できなくなる」と嘆いた。

【図】