ニュース 社会 作成日:2018年5月8日_記事番号:T00076906
カーエレクトロニクス用プリント基板(PCB)世界最大手、敬鵬工業(チンプーン・インダストリアル)の桃園市平鎮区の工場ビルで28日に起きた大規模火災で、消火活動中に意識不明の重体となっていた消防士の林尉熙さん(22)に対し、6日脳死が宣告された。同日夜、病院へ集まった家族は悲しみに暮れる中、林さんの生前の希望に基づき、彼の臓器提供に同意した。
林さんの死亡により、敬鵬の工場火災による消防士の犠牲者は6人となった(7日=中央社)
林さんは高雄市岡山区の出身で、3世代で6人が消防士になった「消防家庭」に育ったことから消防士に興味を持ち、高校卒業後に警察専門学校消防科に進学。桃園市の平鎮消防分隊に配属され、正式に消防士となって1年余りだったが、昨年行われた技能コンテスト大会の蘇生術部門で優勝を果たした、優れた技術の持ち主でもあった。
今回の火災では工場のタイ人労働者2人と消防士5人が現場で死亡。さらに林さんを含む消防士2人が負傷し、病院へ運ばれていた。
救出されたもうひとりの消防士、呂宗郁さんによると当時、工場内に入った7人の消防士のうち、林さんは脱出できる可能性が最も高かったが、仲間のために残って脱出口を探したほか、ボンベ内の酸素を使い切った隊員に自分のボンベを使わせていたという。
体外式膜型人工肺(ECMO)により命をつないだ林さんに対し懸命の治療が続けられ、身体機能には回復がみられたが、意識は一向に戻らなかった。そのため彼の両親と祖父、同僚らは1日に火災現場へ向かい、「任務はもう終わった」「すぐに帰ってこい、これは命令だ」などと呼び掛けた。
しかし周囲の願いも虚しく、医師は6日、2度にわたり評価を行い、同日午後9時に林さんは脳死状態にあると宣告。生前の希望を基に彼の心臓、肝臓、血管、角膜は移植を必要とする患者4人に提供されることとなった。亡くなってもなお他の人のために尽くす姿には胸が打たれる。
なお今回の火災について専門家は、工場には消防、毒性化学物質、危険な労働環境に対する対策が必要となるが、後者の2項目については消防当局の管轄外となっていると指摘。今後、消防士の犠牲をなくすには、総合的な管理制度が必要との認識を示した。
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