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災害救助の「名誉市犬」、ベイリーが天国へ


ニュース 社会 作成日:2018年5月9日_記事番号:T00076933

災害救助の「名誉市犬」、ベイリーが天国へ

 台北市消防局捜救隊(レスキュー隊)に所属し、2008年に発生した四川大地震や09年に発生した台風8号(アジア名・モーラコット)による大規模水害で行方不明者の捜索などに活躍し、16年に「名誉市犬」の称号を授与された災害救助犬、ベイリーが4月26日、引退後の引き取り先で亡くなっていたことが明らかとなった。

/date/2018/05/09/18kakomi_2.jpg生前のベイリー。晩年は里親の下で、普通のペット犬と同じように、遊んだり甘えたりする穏やかな日々を送っていたという(8日=中央社)

 04年に米国で生まれた黒いラブラドール・レトリバーのベイリーは、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)で災害救助犬としての訓練を受けた後、06年に来台し、台北市捜救隊に加入。さらに10年には国際救助犬連盟(IRO)の上級段階(RH-TB)に合格した。

 パートナーを務めたレスキュー隊員、林鴻麟さんによると、ベイリーは行動力と俊敏性は同僚の救助犬の中でも群を抜いており、「黒いブーメラン」のニックネームで呼ばれたそうだ。また、がれきが積み上がった場所や山岳地帯での捜索を得意とし、地震や水害で甚大な被害を受けた危険な現場で何度も任務をこなした。

 そんなベイリーも老齢に差し掛かり、16年に引退することになった際、それまでの活躍を称え、台北市の柯文哲市長から「名誉市犬」の称号を授与された。

 引退した後は一般市民の里親の元に引き取られて過ごしたが、徐々に身体機能が低下し、4月26日、眠っているうちに天国へと旅立った。そして今月8日、市内の公共墓地でかつての同僚隊員14人が見守る中、散骨式と献花が行われた。

 なお台北市のレスキュー隊に全土初の災害救助犬チームが設けられたのは1999年の921地震(台湾中部大地震)がきっかけで、現在、訓練を受けた7頭が所属し、災害現場や行方不明者の捜索に活躍している。こうした救助犬たちもいずれは引退することになるが、同市では危険な任務を遂行し、人の命を救ってくれたヒーローとして、最後まで手厚い待遇を受けているようだ。