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家賃格安の地下住宅、安全面に懸念の声


ニュース 社会 作成日:2018年5月11日_記事番号:T00076983

家賃格安の地下住宅、安全面に懸念の声

 台北市ではマンションやアパートの家賃が高騰しており、新社会人の場合、給料の約6割を住居費が占めるという統計も出ている。そんな中、地下室を住宅に改装して格安賃料で提供する物件も存在するようで、こうした物件が不動産情報サイトなどに掲載されると、問い合わせが殺到するという。しかし、こうした地下住宅は火災の際に避難が困難となるなど安全面に問題があるなどとして注意を呼び掛ける声もある。

 台北市の都市交通システム(MRT)松江南京駅周辺は金融街として知られ、毎日多くのサラリーパーソンが出勤している。職場近くに部屋を借りようとした場合、月に約4万~5万台湾元(約14万7,000~18万円)もの家賃がかかることになる。

 ただ賃貸住宅情報サイトで調べてみると、同駅近くの路地裏に「天井高4.5メートル、2部屋、家具・家電付き」で家賃2万5,500元という格安物件が見つかる。また備考として「日当たり良好」とあるものの、記載情報を詳しく見てみると、この物件は地下1階にあり、窓は天井にしか付いていないことがみてとれる。

 しかし、この近辺で地上の物件を借りた場合に比べ家賃が約半額となるため、大家は「とってもお得。朝から10件以上問い合わせの電話を受けている」と語る。

 また多くの大企業や大手百貨店が集まる信義区の呉興小学校近くにあるアパートも、地下を改装して10坪ごとに仕切り、各部屋を月1万2,000元の家賃で貸し出している。大家によると、この部屋は1階の付属設備で、1階部分と合わせて4部屋の物件だと説明している。

 なおこうした地下物件は通常、入り口が狭く、窓が無いため日当たりや通気が悪い。さらに火災が発生すれば脱出が困難なことから大惨事になりかねず、実際、過去には室内で木炭を使用して住人が死亡するという事故も発生しているそうだ。

 地下室を住居として利用できるかどうかについて台北市建築管理処は、もともとどのような用途で許可を受けたかによるとした上で、住宅用として許可を受けていない物件を他の用途で使用することは原則として認められないと指摘した。

 ただ、同処では人手不足からこうしたケースを積極的に捜査しておらず、通報を受けてはじめて調査に乗り出すというのが実情だ。