マクドナルド台湾は、31日にビッグマックの買一送一（１個購入で２個目無料）キャンペーンを実施したところ、通常の10倍の約39万個と予想以上に売れたため、急きょ対象を18種類の商品に拡大。食材などの在庫不足を招き、翌日１日の朝メニュー提供時間終了後、大部分の店舗を臨時休業する羽目となった。ファストフード大手の突然の臨時休業は、異例の事態だ。専門家は、話題にはなったが、準備不足が消費者の不満を招いたため、成功とはいえないと分析した。２日付蘋果日報などが報じた。

マクドナルド復興二店（台北市大安区）では31日午後９時ごろ、店舗の外まで行列が続いていた（ＹＳＮ）

　マクドナルドは、消費者に不便をもたらしたと謝罪し、今後のイベントの教訓とすると説明した。同社幹部によると、平日の８倍の食材を用意していたが、消費者の反響が予想以上だったという。

　マクドナルド各店舗は２日午前６時以降、順次通常営業を再開した。

対策があだに

　今回のキャンペーンは、同社の広告に出演しているバドミントンの戴資穎（タイ・ツーイン）選手がジャカルタ・アジア大会の女子シングルスで金メダルを獲得したことを記念したもの。同社フェイスブック（ＦＢ）上のクーポン画像を提示すれば、８月31日限定で、ビッグマック１個購入により２個目が無料となった。

　31日午前10時半よりビッグマックなどのレギュラーメニュー提供を開始すると、昼食の時間帯には、ビッグマックが売り切れる店舗が出始めた。これを受けてマクドナルドは、ビッグマック以外の18種類のハンバーガー類も、単品購入で２個目無料となる買一送一の特典が受けられる措置を講じた。しかし、他のメニューはキャンペーン用の在庫がなく、多くの商品が売り切れる事態となった。

　このため、翌日１日の朝メニュー提供が終わる午前10時半以降、百貨店など商業施設やバスターミナルなどの一部テナントを除き、大部分の店舗で臨時休業とした。

来店客とトラブルも

　蘋果日報によると、新北市三重区重新路の店舗では31日午後10時ごろ、店員がチキンマックナゲットなどしか残っていないと説明すると、来店客の男性がハンバーガー類を購入できないことに腹を立て、「証拠が必要だ」と大声を出し、スマートフォンで撮影を始めたため、警察を呼ぶ騒動が起きた。

　中正大学伝播系の胡元輝教授は、キャンペーンの計画が周到だったとは言えず、消費者が欲しい商品を購入できなかっただけでなく、従業員を疲労させたと指摘した。

　一方、嘉義大学行銷観光管理学系研究所の蕭至恵教授は、マクドナルド利用頻度が少ない消費者の利用や、高価格商品の購入を促し、効果はあったと指摘。売り切れを招いたのは、在庫準備が不十分だったためだが、急きょ買一送一の対象を拡大したのは、適切な判断だったと評価した。