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第253回 台湾法上の地上権


ニュース 法律 作成日:2018年10月1日_記事番号:T00079547

知っておこう台湾法

第253回 台湾法上の地上権

 いわゆる「地上権」は民法第832条で、「他者の土地の上下に建築物またはその他の工作物を有することを目的に、その土地を使用する権利」と規定されています。具体的には、例えば甲が乙の所有する土地Aの上に建物建設を希望したため、甲乙双方が交渉を通じて、土地Aに地上権を設定し、甲が借用、かつ地上権設定登記を行うことで地上権者になることを取り決めた、といったものです。

 台湾の現行の法律制度では、他者の土地を利用して建物、工場などを建てたい場合、以下の2つの方法があります。

1.地主と賃貸借契約を締結し、当該土地を借用する

2.地上権を設定し、当該土地を借用する

存続期間に規定なし

 2つの共通点は、いずれも地主に賃料を支払って土地の使用権を取得していることです。異なる点は以下の通りです。

1.地上権を取得する場合、効力発生には主管機関への登記が必要です。しかし、賃貸借契約は賃貸人と賃借人が締結しさえすれば有効となります。

2.地上権の存続期間について台湾法上に特別な規定はなく、70年間設定されたケースもあります。しかし、土地の賃貸借契約は最長でも20年を超えてはならないと規定されています。

3.地上権は譲渡可能で、抵当権設定の目的物とすることもできます。しかし、土地の賃貸借権は原則として譲与できず、転貸もできません。

土地借用の際は確認を

 台湾政府は現在、公有地を個人に使用させる場合、直接売却することはめったになく、大部分は地上権を設定した上で使用権を取得させ、賃料を取得します。従って、外国企業が台湾の会社または個人から土地を借用する時は、賃貸者が土地の所有権者なのか地上権者なのかをまず確認すべきで、後者の場合は問題が生じるのを避けるため、地上権の存続期間などを調べるべきです。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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