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鳥インフルワクチン、大学教授が違法に製造販売


ニュース 社会 作成日:2018年12月22日_記事番号:T00081136

鳥インフルワクチン、大学教授が違法に製造販売

 鳥インフルエンザの流行が懸念される冬季を迎え、台湾でも対策が強化されているが、感染予防のためのワクチン接種はウイルスの変異を加速させる恐れがあるなどとして厳しく禁じられている。しかしこのほど、嘉義大学の教授が学内の実験室で私的にワクチンを製造し、ニワトリやカモの飼育農家に販売していたことが明らかとなり、動物用薬品管理方違反で起訴された。

/date/2018/12/22/19kakomi_2.jpgこうした中、嘉義県で16羽のニワトリが遺棄されているのが見つかり、検査の結果H5N2型高病原性鳥インフル感染が確認された(21日=中央社)

 行政院農業委員会(農委会)の黄金城副主任委員によると、中国やベトナムでは鳥インフルの感染防止を目的としてワクチン接種が行われていたが、これに伴いウイルスの変異が加速、複雑化したことを考慮し、台湾ではワクチン接種を厳しく禁じ、感染した鳥の殺処分による感染予防策を講じている。

 また研究者がワクチンの研究開発(R&D)を行う場合、農委会の許可を得る必要がある他、大量の鳥インフルエンザウイルスを扱うことになるため、一般の実験室で行うことはできない。

 こうした状況の中、昨年6月、中国から鳥インフルワクチンを密輸しようとして摘発されたあるカモ飼育農家の施設を検察が捜査した際、台湾の別のカモ農家からワクチンを購入したと記録された帳簿が発見され、調べを進めると嘉義大学の教授と助理教授が実験室で製造したものと判明した。

 その後、大学の実験室や屏東県や雲林県のカモ飼育農場を捜査し、ワクチンや帳簿を押収して調べた結果、2人の研究者は産学提携の機会を利用して違法にワクチンを製造し、知り合いの農家に販売していたと判断。2年間にわたり製造を続け、67万台湾元(約240万円)の収入を得ていたとみられる。

 取り調べに対し、助理教授は相手に借金したと主張し、ワクチンの販売を否定。教授は違法とは知らなかったと供述した。

 この助理教授はカリフォルニア大学で遺伝学の博士号を取得。動物用ワクチンやウイルス検査を専門とし、学生にはワクチン学、免疫学、ウイルス学などを教えていた。一方、教授は台湾大学で獣医学の博士号を取得。獣医細菌学などを専門としていた。

 今回の事件を受けて嘉義大学の同僚からは「2人の前途は消えてしまった」と嘆く声が出ている一方、畜産業者からは「農家を助けたい一心からやったこと」「感染防止に熱心な教授で業界では慕われていた」などと起訴に反発する声も上がっている。