ニュース 商業・サービス 作成日:2018年12月24日_記事番号:T00081139
海外から台湾を訪れる旅行者数が過去最高を更新し続ける一方、ホテルなど宿泊施設は客室稼働率の低下にあえいでいる。商機を当て込んだ新規開業がハイペースで続いているためで、パイの分け前を減らす結果となっている。識者からは、宿泊施設に総量規制を導入し、市場の正常化に努めるよう政府に求める声も聞かれる。24日付自由時報が報じた。
2014年に海外から台湾を訪れた旅行者は延べ991万人で、昨年は1,074万人だった。今年1~9月の前年同期比増加率3.6%で計算すると、今年通年では約1,112万人となり過去最高を更新する見通しだ。4年間の増加率は12.2%となる計算だ。
これに対し、今年9月末時点の台湾の宿泊施設は1万3,055軒で、4年前からの増加率は43%にも上る。この結果、宿泊施設の客室稼働率は、観光ホテル、一般ホテル、民宿を問わず低下し続けており、観光ホテルの台湾全土平均の客室稼働率は14年の72%から今年1~9月は61%に、一般ホテルは53%から46%に落ち込んだ。直轄市6市では、台北市と桃園市の観光ホテルが客室稼働率65%と比較的健闘している。供給過剰は明らかだ。
深刻な墾丁
宿泊施設の供給過剰が特に深刻なのが屏東県の墾丁だ。同地では民宿が14年の187軒・805室から、今年は530軒・2,236室と約2.8倍に増加。ただ、新南向政策の対象国からの旅行者は14年の延べ1万2,342人から今年1~9月に3,509人に、中国からの旅行者は延べ19万4,994人から5万8,521人にそれぞれ減少。パイが縮小する中で宿泊施設の供給が拡大を続ける最悪の状況に陥っており、屏東県政府の調査によると、1泊当たりの宿泊料金は昨年の2,864台湾元から2,389元(約8,600円)へと16.6%下落した。「売上高は過去十数年で最も悲惨だ」と訴える業者も出ている。
「誘致も補助金も無意味」
こうした状況に対し、静宜大学観光事業学系の黄正聡副教授は、宜蘭県や南投県の清境農場が長年、民宿に営業許可を与えていない例を参考に、宿泊施設に総量規制を設けることを提言した。業者の参入を放任していては、さらなる観光客誘致も、補助金投入も効果が発揮されないと主張している。黄副教授は業界の現状について、苦しさを訴える声が続いているのに毎年100軒のホテルが新規オープンしているため、業者が赤字とは限らないが、恐らく以前よりも利益を減らしていると推測した。
台東県太麻里の観光ホテルは、太平洋から昇る初日の出を見ようと100人以上がキャンセル待ちをしている。新規参入が依然続く中、ホテル業者には強みを生かしたマーケティングが切実に求められている(21日=中央社)
一方、元交通部観光局副局長で高雄餐旅大学の劉喜臨副校長は、観光業界の不振の背景として、中国人客の減少、台湾人客が台湾旅行を好まないこと、大都市での民泊施設増加を挙げつつ、宿泊施設の品質が観光客の求める水準に達していないことも課題として指摘した。
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