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新北市の「猫村」、感染症発生で封鎖の危機


ニュース 社会 作成日:2019年1月31日_記事番号:T00081843

新北市の「猫村」、感染症発生で封鎖の危機

 300匹近い野良猫が住み着く「猫村」として知られ、猫好きが訪れる観光地となっている新北市瑞芳区猴硐里でこのほど、ネコ科動物の感染症「猫汎白血球減少症」(猫ジステンパー、猫伝染性腸炎とも)で2匹の猫が死亡したことが確認され、感染の拡大を未然に防ぐため、最悪の場合、一時的に村を封鎖する案も検討されている。

/date/2019/01/31/18kakomi_2.jpg新北市動物保護防疫処は感染死亡例の確認を受けて、現地で街路などの消毒や猫へのワクチン接種を強化している(30日=中央社)

 新北市動物保護防疫処によると、猴硐里で28日、幼い猫「奇諾(チノ)」と「辛巴(シンバ)」が廃工場脇に置かれた材木の上で死んでいるのが発見され、その後の検査で猫汎白血球減少症ウイルスへの感染が確認された。

 猫汎白血球減少症はヒトや他の動物には感染しない猫特有の感染症で、繁殖期に当たる春や秋に発生することが多いそうだ。ワクチン接種を受けていない生後3~5カ月の猫が最も感染しやすく、いったん感染すればほぼ100%、死に至るという。今回、死亡した2匹も、2カ月ほど前に村へやってきたばかりでワクチン接種を受けていなかった。

 猴硐里では地域内の猫をデータベースで管理しており、現在、286匹が登録されている。猫は毎年、ボランティアの手によってワクチン接種が行われているが、人になつかない十数匹は捕まえることができず未接種のままだ。これら個体が繁殖した場合、感染防止態勢の抜け穴となることが懸念されている。

 また、同地が「猫たちの楽園」として広く知られるようになったことで、自宅で飼えなくなったペットの猫を連れてきて捨てていくケースも出ているようだ。「楽園」に捨てることで心理的な抵抗を軽くしているとも考えられるが、猫は縄張り意識が強く、新しくやって来た猫はいじめられて、食べ物が確保できないこともあるほか、感染症の原因となる可能性もあり、動物保護防疫処は厳しく監視している。捨て猫行為が発見された場合、3万~15万台湾元(約10万6,000~53万2,000円)以下の罰金処分が科せられるそうだ。

 なお猫汎白血球減少症はヒトに感染する心配はないものの、動物保護防疫処では観光客に対し、▽地域内の猫に触れない▽家で飼っている猫を連れてこない▽猫を飼っている場合は帰宅後しっかり消毒する──などの注意喚起を行っている。