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第298回 二大KTV業者の結合申請、4回目の却下


ニュース 法律 作成日:2019年9月2日_記事番号:T00085522

知っておこう台湾法

第298回 二大KTV業者の結合申請、4回目の却下

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)は8月21日、カラオケボックス(KTV)業者の上位2社である銭櫃企業(キャッシュボックス・パーティーワールド)と好楽迪(ホリデー・エンターテインメント)の結合申請を却下しました。両社による結合申請は4回目だったため、社会の注目を集めました。

 企業の「結合」とは、公正取引法第10条第1項によると、以下の5種類のいずれかの状況を指します。

1.他の事業者と合併する場合

2.他の事業者の株式、または出資額を保有、または取得し、他の事業者の議決権付き株式総数、または資本総額の3分の1以上に達する場合

3.他の事業者の営業、または財産の全て、または主要な部分を譲り受け、または賃借する場合

4.他の事業者と定期的に共同経営し、または他の事業者の委託を受けて経営する場合

5.他の事業者の業務経営、または人事任免を直接、または間接的に支配する場合

 本件の銭櫃と好楽迪の結合事案は上記の2、5に該当します。

条件により許可申請が必要

 この他、同法第11条第1項の規定によると、企業が結合により以下のいずれかの状況に該当する場合、主管機関(公平会)の許可を得ることが必要です。

1.結合により事業者の市場占有率が3分の1に達する場合

2.結合に参加する1事業者の市場占有率が4分の1に達する場合

3.結合に参加する事業者の前会計年度の売上高が公平会の公告する金額を超える場合(業種により金額は前後する)

 本件の銭櫃と好楽迪の結合事案は上記1、2に該当します。

 申告すべき結合事案について申告していない場合、同法第39条により、公平会はその結合を禁止でき、期限を定めて事業者の分離、全ての株式、または一部の処分、一部の営業の譲渡、担当職務の免職を命じ、かつその他の必要な処分を行うことができます。また20万台湾元(約67万円)以上5,000万元以下の過料を科すことができます。

寡占を懸念

 メディアの報道によると、公平会 が本事案の結合申請を却下した主な理由は以下の通りです。

1.銭櫃と好楽迪は市場における上位2社のKTV業者であり、結合後、市場の自由競争が損ねられ、かつ消費者が結合後の事業の値上げ行為に対抗できない

2.レコード会社、音楽配信サービス業者、音楽著作権管理団体、消費者保護団体なども本結合事案に対して懸念を示している

 実務上、多くの業者が企業合併などを通じて営業を拡大しています。企業合併を行う前には、違法行為を避けるため、公平会に申告しなければならない結合事案に該当するかについて、特に留意してください。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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