中華圏のインターネット通信販売セール「独身の日（光棍節、11月11日）」が、台湾でも絶好調だ。通販サイト「Yahoo奇摩購物中心」は、売上高が前年同期の４倍、セール前の約30倍に達した他、「ＰＣホーム24ｈ購物」には１分間に1,300件以上の注文が入った。こうした大型セールでも迅速に配達を行うため、通販サイト各社は物流の人工知能（ＡＩ）化や業者との提携拡大を進めている。12日付工商時報などが報じた。

Yahoo奇摩購物中心のＡＩ倉庫は、８割の作業を自動化し、労働力の３割削減を実現した（11日＝中央社）

　Yahoo奇摩購物中心は11日午前０時から１時間以内に100万台湾元（約360万円）を売り上げ、1,000万元に達するまでの時間が前年よりも大幅に縮まった。

　同セールは今月１日に開始、人気商品の上位３位はおむつ、ティッシュペーパー、菓子類・食品だった。おむつは毎秒６枚売れ、ティッシュペーパーはこれまでに超高層ビルの台北101（高さ509.2メートル）64棟分が売れた。

　ＰＣホーム24ｈ購物の特売セールでは、３Ｃ（コンピューター、通信、家電）製品が最も人気で、売上高は８倍に増加した。ゲーム機の「ニンテンドースイッチ」が30分で売り切れ、中国・小米集団（シャオミ）のスマートフォン「Redmi Note 8 Pro」は１時間で2,000台以上、東芝のポータブルストレージドライブは1,000個以上売れた。

　次いでティッシュペーパーやおむつが人気で、１時間当たり1,000箱以上売れた。

　シンガポール系の「蝦皮購物（ショッピー）」は、台湾や東南アジアで11日午前０～１時の注文が前年同期の４倍に増えた。アップルのスマホ「iPhone11プロマックス」や、半額セールを実施したヤマハ発動機の電動バイクなどが数秒で売り切れた。

ＡＩ倉庫、注文後10分で発送

　Yahoo奇摩購物中心はこうした大型セールの配送ピークに対応するため、ＡＩ自動物流センターを10月、桃園市大渓区で稼働させている。ＡＩによって商品の入荷から在庫管理を全面自動化し、発送までの時間は従来より60％短縮、最短で注文から10分で発送できるようになった。また、ピーク時には発送量を通常の10倍まで拡大できる。

　同自動倉庫は敷地面積8,400坪、数万個の商品をストックでき、業界最大規模だ。Yahoo奇摩購物中心は同倉庫の建設で、新竹物流、漢錸科技、工業技術研究院（工研院、ＩＴＲＩ）などと提携した。

６時間後の配達目指す

　ＰＣホーム24ｈ購物は、自社物流部門の「網家速配」250人を短期支援スタッフで２割増員し、提携物流業者と共に独身の日セールの対応に当たっている。

　提携先は中華郵政や統一速達（プレジデント・トランスネット）がヤマト運輸と展開する「黒猫宅急便」、台湾宅配通（台湾ペリカン便）、嘉里大栄物流（ケリーＴＪロジスティクス）など14社で、今年末までに北部で６時間以内の配送が可能な体制確立を目指す。