受動部品メーカーの奇力新電子（チリシン・エレクトロニクス）は、傘下企業を通じて、中国の老舗コイルメーカー、信源科技の100％株式を取得する計画だ。買収額は３億1,500万人民元（約49億円）を見込む。コイルの自社生産能力を増強することで、コンポジットタイプ（一体成型）の大型インダクターのコスト低減を図る方針だ。26日付工商時報が報じた。
信源科技は高度に自動化された生産ラインと成熟した技術を有し、長期にわたりチリシンにコイルを供給している。業界関係者によると、同社の買収によりチリシンはコンポジットタイプ大型インダクターのコストを30％、同社全体のコストを10％低減することが可能とされる。
また、台風19号（アジア名・ハギビス）による浸水被害を受けた日本の同業大手、太陽誘電子会社の工場の稼働停止期間が予想以上となる中、チリシンは中国の華為技術（ファーウェイ・テクノロジーズ）からスマートフォン用のコンポジットタイプ小型インダクターの振り替え受注を獲得したもようだ。チリシンはこれにより、同製品の今後３カ月間の受注見通しに懸念がなくなった。
