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5G時代到来、気象衛星・健康への影響懸念


ニュース 社会 作成日:2019年12月10日_記事番号:T00087340

5G時代到来、気象衛星・健康への影響懸念

 台湾ではきょう10日、第5世代移動通信(5G)の周波数帯入札が始まった。間近に迫った5G時代は、通信速度の飛躍的な向上による利便性向上が期待される一方、5G電波が衛星通信を阻害し、テレビの衛星放送にノイズを発生させる恐れや、電磁波による健康への懸念が取り沙汰されている。

 5Gの通信速度は4Gの10倍以上に達し、低遅延で同時に多数の設備との接続を可能にするなどの特性を持つ。車のインターネット(IoV)や超高画質映像の配信の他、バーチャルリアリティー(VR)映像のライブ配信なども実現する見通しだ。5Gへの期待は高く、台湾では中華電信や遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)をはじめとした五大通信キャリアが周波数帯入札でしのぎを削っており、落札価格は500億台湾元(約1,780億円)に上るとも予測されている。

 便利さの半面、悪影響が指摘されている分野もある。中華電信の人工衛星、中新二号(ST-2)の使用する周波数帯が、5Gの3.5ギガヘルツ(GHz)帯に近く、テレビの衛星放送にアナログ放送時代にあった「砂嵐」のようなノイズが現れるのではないかと懸念されている。これに対し国家通訊伝播委員会(NCC)は、必要な周波数帯のみを通し、他の周波数は通さないバンドパスフィルター(BPF)の設置に3年で2億元以上の補助金を支出する計画で、衛星放送や有線テレビ業者に設置を促している。

 既に5Gサービスが始まった米国では、割り当てられた24GHz帯が、気象衛星が大気水分量を観測するために使用する23.8GHz帯に近接しており、ある専門家は、気象予測の精度が40年前の水準に逆戻りすると警告している。NCCは、台湾では5Gで割り当てる周波数帯に24GHz帯は含まれておらず、こうした問題は起きないと強調した。

 また、5Gの電波は伝送距離が短く、基地局を4Gの3~5倍設置する必要がある。これにより、電磁波にさらされる時間が今よりも長くなることから、がんの発症など健康被害に対する不安の声も上がっている。学識者は政府に対し、現行の電磁波に対する短期的な暴露に対する規制だけでは不十分で、長期的な暴露への規制も定めるべきと呼び掛けた。

 健康への影響はまだ分かっていないが、予見できる悪影響に対しては回避措置を取り、5Gサービスを十分に享受できる環境を整えてほしいものだ。