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総統口説いたユーチューバー、中国の契約解除に反発広がる


ニュース 社会 作成日:2019年12月17日_記事番号:T00087469

総統口説いたユーチューバー、中国の契約解除に反発広がる

 先ごろ蔡英文総統とのコラボ動画を公開した台湾のユーチューバーが、中国の提携先からの削除要求を拒否。中国市場での損失覚悟で契約解除を受け入れ、台湾のインターネットユーザーたちから称賛の声を集めている。

/date/2019/12/17/18kakomi_2.jpg蔡総統がめったにない表情を見せる動画は大人気を呼んだ(ユーチューブより)

 女性をナンパする際のユニークな会話術を紹介する動画などが人気となり、約42万人のチャンネル登録者数を抱える男性ユーチューバー、波特王(ポッターワン)は14日、自身が所属する高雄市の映像メディア制作会社、聚暘新媒体の事務所を蔡総統が訪れた際の映像をアップロードした。

 「世界で初めて総統を口説いたユーチューバー」と題する動画の中で、波特王は普段披露しているようなナンパ会話で蔡総統を直撃。蔡総統が「総統に向かってよくそんなことが言えるわね」と返し、周囲の爆笑を誘うなど和気あいあいとしたコラボレーションが展開され、17日午前11時現在、再生回数は94万回を超えている。

 しかしその直後、波特王が提携している中国のメディア企業から削除を要求する連絡が入った。波特王によると、提携先は「総統」という言葉を使用してはならないと強硬に主張し、ユーチューブを含む全てのプラットフォームから問題の動画を削除するよう要求。これに応じなければ提携契約を解除すると通告した。

 しかし、波特王は聚暘新媒体のマース執行長と話し合った結果、要求には全く応じられないとの結論に達し、契約解除を決めた。その後、波特王が開設していた中国版ツイッター、微博(ウェイボー)のアカウントはパスワードが勝手に変更され、ログインが不能となった。

 このアカウントには100万人以上のファンが付いており、今回の契約解除による損失は数百万台湾元(1元=約3.64円)に上るとされる。しかし波特王は自身のフェイスブック(FB)ページに「自分の国の元首を総統と呼ぶこともできないなら、もうからなくなっても構わない」、「損失は小さくないけれど、ここで膝を屈するわけにはいかない」と書き込み、多くのユーザーから「波特王は本物の男だ」「ガッツがある」など応援コメントが多数集まった。

 蔡総統もFBに「自由で民主的な台湾では総統の『ナンパ』までできる」と投稿。その上で企業やクリエーターに対し、「中国では政治と経済を分けることができないことを知っておくべきで、われわれの民主と国家の安全を確保して、初めて経済と創作の自由が守られる」と訴えた。