ニュース 社会 作成日:2019年12月18日_記事番号:T00087494
屏東科技大学が17日、亜熱帯気候の台湾の暑さにも耐えられる乳牛を、不妊治療でも注目されている新生殖技術、紡錘(ぼうすい)体置換法(スピンドル・トランスファー、ST)で生み出すことに世界で初めて成功したと発表した。暑さに耐える乳牛の飼育が広がれば、台湾での牛乳の生産量拡大が期待できる。
ST牛の外見は、ホルスタインそのものだ(17日=中央社)
台湾で飼育されている乳牛はホルスタインが主流だ。ホルスタインは乳量が最も多い品種で、性質が温順、丈夫で飼いやすいことから世界中で飼育されている。ただ、暑さに弱く、温帯気候下での乳量は1日当たり20~40キログラムに上るのに対し、気温の高い台湾ではその半分に減ってしまう。
こうした弱点を克服するに当たり、屏東科技大学動物科学・畜産系の沈朋志教授率いるチームは、台湾で400年ほど前から飼われ、暑さに強い台湾黄牛に着目。乳量で優れるホルスタインとかけ合わせることにした。
品種改良の手法は、従来から行われている交配では少なくとも15年かかるため、時間短縮のため紡錘体置換法を採用した。紡錘体置換法は、母親の卵子から核を取り出してドナーの卵子に移植し、体外受精させる方法で、母親、ドナー、精子提供者と3者のDNAが混合することとなる。不妊治療の他、母系遺伝する難病を予防できる可能性があるとして注目されており、米国や英国などでは既に合法化している。
沈教授のチームは、台湾黄牛の卵子から核を取り除き、ホルスタインの卵子の核を移植。そして、ホルスタインの精子と体外受精させることで誕生したのが、暑さに強い新品種「ST牛」だ。
ST牛はこれまでに4頭誕生しており、うち1頭が4歳のメス、3頭が1歳のオスだ。今後、メスの妊娠、出産を経て、乳が出るようになる。新品種としての乳量は、頭数を増やした上で測定する。したがって、ST牛が台湾の暑さに耐え、ホルスタイン並みの乳量を実現するのか分かるまで、まだ少し時間がかかりそうだ。
ST牛の飼育が普及すれば、台湾の牛乳の生産量が増え、今よりも安い価格で、牛乳を買うことができるかもしれない。
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