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フードデリバリー普及、飲食店は利益確保に試行錯誤


ニュース 社会 作成日:2019年12月25日_記事番号:T00087615

フードデリバリー普及、飲食店は利益確保に試行錯誤

 台湾では今年、foodpanda(フードパンダ)やUber Eats(ウーバーイーツ)などの飲食店の宅配代行サービス(フードデリバリーサービス)が一気に普及し、インターネットを通じた食事の注文が一般的になった。こうした中、飲食店側も生き残りを懸け、いかに宅配サービスを取り入れるか頭を悩ませている。

 台南市でとんかつ店「双品猪排」を経営する洪啓順さんは、当初デリバリーサービスに対し、プラットフォームに手数料として代金の33%を取られることから割に合わず、利益確保のため値上げをすれば客が付かないと考え、好印象を持っていなかった。しかしその後、自身でサービスを利用してみて、「消費者は買いたいものはとにかく買う」と気付き、今年7月にプラットフォームでの販売を決めた。

 すると、加入後2カ月間は、プラットフォーム側から消費者向けにクーポン番号によるサービス料免除の優遇措置があったこともあり、売り上げが伸びて3割の増益を達成した。洪さんは導入後、消費者の8割以上は外出したくない気持ちが強く、価格にはあまりこだわらないことを発見。実際、2度ほど値上げしたが悪い反応はなく、注文量は平日35件、休日45件と手一杯になった。

 ただ、9月に入って消費者への優遇措置がなくなると、宅配の業績は急落、注文量も1日15件未満になった。しかし洪さんは、デリバリーサービスのプラットフォームで商品を販売すれば、幅広い消費者に店を知ってもらえるため、手数料の33%を宣伝費と考えれば高くないと考え、現在も利用を続けている。

 台北市士林区の天母地区でジェラート店「オン・ザ・ロード」を営む蔡宗汶さんは、デリバリーサービスはネットショッピングの延長で、実店舗を運営する経営者も導入しなければ生き残れないと語る。ただ、蔡さんが扱うジェラートの場合、デザートのため配達時間帯の短縮要求や集中は少ないものの、配達中には厳格な温度管理が要求されるため、プラットフォームは利用せずに自ら配達することにした。

 蔡さんによると、利便性を実感してリピーターになった利用者による友人への推薦などで、少しずつ利用者が増えていった結果、宅配の売上高構成比は、当初の3~5%から20%以上にまで拡大した。今年は30%超えもありそうだ。

 技術に裏打ちされた新たなサービスの登場で、台湾の外食文化は今後、どのような変化を見せてくれるのだろうか。