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台湾近海のウスイロイルカ、半数に負傷跡


ニュース 社会 作成日:2020年1月3日_記事番号:T00087698

台湾近海のウスイロイルカ、半数に負傷跡

 台湾近海には全身がピンク色、またはピンクと白色や明るい灰色のしま模様に覆われたシナウスイロイルカが生息している。しかし、12月30日に発表された調査結果によると、このイルカの生息数は現在わずか65頭まで減少、さらにその半数に船舶との衝突が原因とみられる傷跡が確認された。

 調査を行ったシナウスイロイルカ保護団体、台湾媽祖魚保育聯盟の調査員が、同イルカの主な生息域の一つ、彰化県の河口周辺で目視による観測を行った結果、ほとんどのイルカの体表に何かにぶつかったような傷が確認できた。この海域は漁船や作業船、遊覧船が頻繁に航行しており、こうした船に衝突したものと推測される。特に漁船が漁をする際に、イルカが魚を追い掛けたり、海面にジャンプして船に衝突するケースが多いという。

 中華イルカ協会理事長を務める台湾大学獣医学系の楊瑋誠副教授も、観測の結果、シナウスイロイルカの約45%に傷跡があり、この比率は高過ぎると指摘。政府に対し、イルカが出没する海域では船舶の航行速度や航行数に規制を設けるよう提言した。

 また、魚保育聯盟の許馨庭執行長は、シナウスイロイルカの生息数が減少している主な原因として、▽漁具による負傷▽河口汽水域の減少▽台湾西海岸の工業地帯増加▽環境汚染▽騒音──を挙げた。

 特にシナウスイロイルカの主要生息域となっている台中、彰化沖一帯では現在、洋上(オフショア)風力発電所の大規模開発が進められており、イルカの生存にとって大きな脅威となっていると強調した。

 これについて国家海洋研究院(国海院)海洋生態・保育研究センターの張至維主任は、風力発電所の建設や運転の際に海上と海面下で発生する低周波の騒音が生態系に影響を及ぼす可能性があるとの研究結果もあると説明。このため同センターでは、今後2年をかけてさらに詳しい研究を進め、海洋委員会海洋保育署(海保署)と協力してグリーンエネルギーの開発と生態保全を両立させたいと語った。