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自殺道具を燃やして邪気払う、彰化に残る風習「送肉粽」


ニュース 社会 作成日:2020年1月9日_記事番号:T00087798

自殺道具を燃やして邪気払う、彰化に残る風習「送肉粽」

 彰化県の沿海地区では、自殺者が出た際、首つり用の縄など自殺のために使用された道具を海辺で燃やして邪気を払い、地域住民の平穏を守るという古い風習「送肉粽」が残されている。

 「送肉粽」は「ちまきを送り出す」という意味だが、これは竹の皮で包んだちまきをしばり、つるすためのひもが、自殺用の縄を連想させることからそう呼ばれるようになったとされる。この儀式はもともと中国・福建省泉州の風習で、台湾では特に彰化県の鹿港鎮で目にすることが多いという。

 台湾の習俗・風習に詳しい楊登嵙氏によると、自殺で亡くなった者は恨みや苦しみが最も強く、その邪気が生きている人間に害を及ぼす恐れがあるため、儀式によってこれを払う必要があると考えられているという。

 「送肉粽」の内容は地域によって微妙に異なるが、通常、地元の廟(びょう)が主催し、午後9~11時に参加者一行が遺体発見場所から海辺まで街を練り歩き、そこで自殺に使用された道具を燃やして邪気を払うという流れとなっているようだ。

 鹿港で1年ほど前に行われた例では、遺体発見現場に自殺に使われた道具の他、複数の神像を並べた神棚、鶏肉、カモ肉、塩、米などの供え物が用意され、魔よけに効果があるとされる道教の神、鍾馗(しょうき)に扮(ふん)した道士による舞で儀式がスタート。死に関わりのある物品にニワトリやカモの血を付けるなどの行為の後、決められたルートを通って海辺まで街を練り歩く。

 その際、ひっきりなしに爆竹を鳴らし続ける他、参加者は決して後ろを振り返ってはならず、死者の名も呼んではならない。またルート沿いに住む住民は邪気が入り込まないよう、玄関に魔よけのお札を張り、ドアを固く閉ざす。そして一行が海辺に到着した後、自殺に使われた道具が燃やされ、「送肉粽」は完了する。

 こうした儀式に科学的な裏付けはないが、残された家族や周辺住民の気持ちを多少なりとも和らげる効果はあるようだ。