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蔡英文政権2期目、重要政策の実行が課題


ニュース 政治 作成日:2020年1月12日_記事番号:T00087828

蔡英文政権2期目、重要政策の実行が課題

 蔡英文総統は817万票の史上最高得票数を得て再選を果たし、立法院でも過半数を掌握する「完全執政」を維持したが、強力な民意をバックに重要政策をスムーズに実行に移せるかが当面の課題となる。

 蔡総統は11日夜の当選会見で、「過去4年間、われわれは成績を上げたが不足な点もあった。今後の4年間は足りない部分、間に合わなかった部分にもっと取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

 内政面では大型インフラ整備計画「前瞻基礎建設計画」を引き続き推進し、経済に活力を吹き込む一方、▽「8年で20万戸」を掲げる社会住宅(賃貸専用の公営住宅)の整備▽長期介護や育児手当など社会保障政策の強化▽低賃金問題の解決と青年の起業支援──などに取り組むことになる。ただ、長期介護だけで年間600億台湾元(約2,200億円)もの巨額の予算が必要となる中、財政の健全性をいかに担保していくかが課題となる。

 また、1期目で強行した年金改革や「一例一休(週休2日制)」の導入などには財界の反発が根強く、微調整が必要となる可能性がある。

脱原発論議再燃も懸念

 台湾電力(台電、TPC)第4原子力発電所(新北市貢寮区)の凍結解除と発電開始の是非を問う住民投票が2021年8月に実施されることが決まり、民進党の脱原発路線の是非を問う論議も再び高まりそうだ。

 2期目の内閣については蔡総統が「政権チームの安定を維持したい」と当選会見で述べており、当面は大幅な内閣改造は行わず、蘇貞昌行政院長は留任する見通しとなった。

中国側の圧力拡大も

 対中関係は引き続き難航が必至だ。蔡総統は当選会見で「平和・対等・民主・対話」を対中政策の主軸に掲げたが、今後も中国が中台関係改善の前提条件として掲げる「1992年の共通認識(92共識)」の受け入れを拒む限り、中国側の歩み寄りは望めない。むしろ、中国は外交面、経済面、軍事面で台湾への圧力をエスカレートさせる可能性がある。

 台湾の民主主義は欧米や日本から強い支持を受けているが、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、TPP11)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加は中国の妨害で道筋が付かない。正式な外交関係がある数少ない国々を守れるかどうかも不透明だ。

本紙特約記者・宮城英二