馬英九前総統が飲食店の宅配代行サービス（フードデリバリーサービス）の配達員に扮（ふん）し、市民に会いに行くドッキリ動画がユーチューブで20日公開され、話題となっている。

馬前総統が素顔をさらした瞬間、注文者たちは驚きの余り声も出ない様子だった（ユーチューブより）

　馬前総統は昨年も春節（旧正月、2020年は１月25日）前に、書店員として一日職業体験を行う動画を公開し、反響を呼んでいた。２回目となる今回は、フードデリバリーサービスの配達員「馬大九」として、電動自転車にまたがり、注文された飲食物と手書きの春聯（春節に縁起の良い言葉を書いて戸口に張る赤い紙）を届けた。

　ヘルメットとマスクをして美容クリニックを訪れた馬前総統は、注文者の女性、呉さんに直接手渡そうと待合室のカウンターを訪ねたが、受付の女性たちに怪しまれて「彼女は忙しいから」と断られた。「何とか出てきてもらえないか」と食い下がったところ、警戒心をあらわにした女性たちから、「どんな用件なのか、注文のドリンクは私たちが受け取ったから問題ない」とかみつかれた。

　そこで馬前総統は「プレゼントを渡したい」と言いながら、マスクを外して春聯を取り出した。女性たちは驚きの声を上げ、後ずさりながら「馬前総統」と呼び掛けた。後から待合室に出てきた呉さんは馬前総統と握手して「追加注文をお願いできますか」と言って笑いを誘った。

　この動画を撮影するに当たり、長年自身で運転していなかった馬前総統は、事務所や自宅近くで電動自転車に乗る練習を行ったという。動画の中では、アクセルとブレーキのコントロールに不慣れな場面も見られた他、総統官邸近くの台北市立第一女子高級中学（北一女）への配達の際には、「初めて電動自転車を運転して８年住んだ場所を通る。とても面白い」とコメントした。

　今回は動画用に限定で配達員を演じた馬前総統だったが、北一女の学生たちに「また会おう」と回答。早くも来年の一日職業体験に向けて意欲満々のようだ。