中央流行疫情指揮中心（中央流行疫情指揮センター）は31日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不特定人物が集まる公共空間の屋内で1.5メートル、屋外で１メートルの社会的距離（ソーシャルディスタンス）を導入する方針を示した。同距離を確保できない特別な状況ではマスク着用などを求める。近距離接触の可能性が高いにもかかわらず、1.5メートルの社会的距離を保持できない事業者には、営業停止を求める構えだ。指揮センターや交通部の方針を受け、台湾高速鉄路（高鉄）と台湾鉄路（台鉄）は、１日から乗客へのマスク着用を義務付けた。墓参りのため人の移動が増える清明節連休（２〜５日）を前に、感染拡大対策が強化された。中央社電などが伝えた。

台北市政府の地下にあるレストランでも、透明の仕切りが設置された（中央社）

　指揮センター指揮官の陳時中・衛生福利部（衛福部）長は31日、社会的距離は現段階では要請にとどまるが、状況が悪化した際には罰則導入などを検討する方針を示した。蘇貞昌行政院長は、社会的距離の規範の対象には、家族は含まれないと説明した。向き合った２人が手を伸ばしてギリギリつなげるのが１メートル、そこから２人が１歩ずつ後退したのが1.5メートルの目安となる。

　林佳龍交通部長は31日、１日より交通部管轄下の全ての公共交通機関などの乗客・利用者と従業員に対し体温測定を実施するとともに、乗客・利用者にマスク着用を義務付けると宣言した。体温が37.5度を超える場合、立ち入りを禁止する。

　交通部が管轄するのは▽高鉄12駅▽台鉄239駅▽長距離バスセンター▽高速道路のサービスエリア▽大部分の空港▽港▽郵便局1,298カ所──。

窓側座席を優先手配

　高鉄と台鉄は、窓側の席を優先的に販売し、乗客間の距離を確保する。高鉄は１～６日、全席指定席のみ。台鉄は１〜６日、指定席特急列車で立ち席券の販売を行わない。ＩＣカード、定期券などによる乗車や、等級アップグレード、乗り越し、乗り遅れに関しては現行規定を適用する。

　都市交通システム（ＭＲＴ）については、指揮センターの指示を基に地方政府が決定する。台北ＭＲＴの運営会社、台北大衆捷運（ＴＲＴＣ）は、既に99％の乗客が自主的にマスクを着用していると指摘した上で、政府のガイドライン（方針）に沿って対応を決めると説明した。

スーパーでも距離

　レストランでは、テーブルとテーブルの間の距離を屋内の場合1.5メートル離すか、仕切りを設置するよう求められる。屋外でのピクニックは１メートルの距離を保つ必要がある。

　遠東そごう台北忠孝館のスーパーマーケットでは、先週より会計時の行列の距離を１メートル空ける措置をとっていたが、指揮センターの方針に従い31日から1.5メートルに拡大した。ショッピングセンター（ＳＣ）の環球購物中心（グローバルモール）は３月初め、飛沫（ひまつ）を防ぐため、フードコート席に透明のアクリル板を設置した。

娯楽場所への立ち入り自粛要請

　指揮センターは１日、社会的距離に関する注意事項を公表した。第１段階の要請期間と、第２段階の強制処分期間がある。

　第１段階の要請期間では、市民に対し、展覧会、スポーツイベント、コンサートなど、近距離での接触がある交流活動への参加を避け、生活の維持に関わりのない娯楽場所への立ち入りを避けるよう要請する。屋内で1.5メートル、屋外で１メートルの社会的距離を保つよう要請するが、双方が正しくマスクを着用している場合はこの限りでない。また、混雑した場所や密閉空間ではマスク着用を求める。近距離接触の可能性が比較的高いのに、1.5メートルの社会的距離を保持できない事業者には、営業停止を要請する。

　第２段階の強制処分期間では、医療、公務執行、生活維持など必要性のある活動以外を禁止する。娯楽活動は禁止する。必要性のある活動の際には、屋内で1.5メートル、屋外で１メートルの社会的距離を保つことを義務付ける。双方が正しくマスクを着用している場合でも、１メートルの社会的距離を保つよう求める。