ニュース 電子 作成日:2020年4月17日_記事番号:T00089464
ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16日、今年の設備投資は計画通り、過去最高水準の150億~160億米ドルを維持すると説明した。3ナノメートル製造プロセスは、来年上半期に試験生産を延期するが、2022年下半期の量産開始に変更はない。魏哲家総裁は、新型コロナウイルス感染拡大の影響は短期的で、今後数年の第5世代移動通信(5G)や高性能計算(HPC)需要は力強いと指摘した。17日付経済日報などが報じた。
魏総裁はオンラインに切り替えた決算説明会で、3ナノを導入する第1弾の顧客向けにハイエンドスマートフォン、HPC用チップを生産すると説明した。顧客数については公表しなかった。3ナノは立体構造トランジスタ(FinFET)技術を採用し、5ナノとの比較でトランジスタ密度は70%以上高まり、性能は25~30%上昇する。消費電力も低減する。
同社は今年、3ナノ以外に、5ナノの生産ラインを拡充し、7ナノと設計規則(デザインルール)に互換性がある6ナノの量産開始を第4四半期へと早める。これら先進プロセス向けに設備投資の80%を充てる。
スマホ出荷、9%減予測
同社は、新型コロナウイルスの影響でスマホや消費者向け電子製品の需要が弱まっているものの、同社は7ナノ、5ナノでリードしており、顧客からの発注削減はないと説明した。
仮に6月に感染が収束に向かった場合、第2四半期の連結売上高は101億~104億米ドル、台湾元換算では1米ドル=30元として3,030億~3,120億台湾元(約1兆900億~1兆1,200億円)で、前期比2.4%減~0.5%増の範囲と予測した。黄仁昭財務長は、モバイル端末の需要の落ち込みは、5GやHPC向けの好調で相殺されると述べた。
ただ魏総裁は、消費低迷が第3四半期以降の同社の生産量に影響する可能性があると話した。同社は、新型コロナウイルスにより今年のスマホ世界販売台数は前年比7~9%減少するとみており、同社の下半期の売上高は上半期を下回る恐れがある。
一方、魏総裁は、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)導入に伴いサーバーやHPC需要が増えている他、今年の全世界の5G対応スマホ出荷割合が15%に高まるとの見立ては変わらず、同社の米ドル建て通年売上高は5~10%成長が続くと予測した。
米工場は「評価中」
米国での工場設置に関する質問に対し劉徳音(マーク・リュウ)董事長は、詳細を評価している最中だと答えた。設置に当たっては▽経済規模▽コスト回収▽従業員とサプライチェーンの完備──の3条件がそろっていないため、具体的な計画に移っていないと説明した。
同社の発表翌日の17日、TSMCの株価終値は306.5元と、前営業日比20元(6.98%)上昇した。
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