ニュース 電子 作成日:2020年6月5日_記事番号:T00090350
市場関係者によると、アップルが9月以降発売するとされるスマートフォン次世代製品、iPhone12に採用される広角カメラレンズ設計が、スマホ向け光学レンズ最大手の大立光電(ラーガン・プレシジョン)の特許に抵触する可能性があり、アップルは使用許諾に向けラーガンとの交渉に入ったようだ。事実であれば、ラーガンは受注を確実にし、莫大(ばくだい)なライセンス料収入も入ることになり、アップルサプライチェーンでの役割がさらに高まりそうだ。5日付経済日報が報じた。
ラーガンは、特許関連の交渉を行っていると認めたものの、守秘義務があり相手は明かせないとコメントした。台湾同業の玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)は、初めて聞いた話であり、コメントを控えるとした。
iPhone12は、アップルのスマホとして初めて第5世代移動通信(5G)に対応するとされ、これに伴いカメラレンズ規格もアップグレードされ、背面の広角レンズはiPhone史上最高価格のレンズになるとの情報もある。広角レンズは望遠レンズより生産難易度が高いとされ、iPhone12では7枚構成プラスチックレンズ(7P)設計へと、昨年発売のiPhone11の6P設計からアップグレードされるようだ。
アップルは、iPhone11で初めて▽広角▽超広角▽望遠──のトリプルカメラを搭載。広角、望遠レンズとも6P設計だった。
ジニアスは昨年、広角と超広角レンズを受注し、初めてiPhoneの背面カメラレンズのサプライチェーン入りを果たした。ジニアスはアップル関連の受注が9割以上を占めるとされ、アップルも第2サプライヤーとしてジニアスを重視している。アップルは、ラーガンとの無用なトラブルを避け、サプライチェーンでの生産が順調に進むよう、ラーガンと特許使用許諾の交渉に入ったとみられる。
日本勢との特許訴訟を教訓に
ラーガンは2013年、林恩平執行長の主導で、ジニアスとサムスン電子を特許侵害で提訴していた。ジニアスとの訴訟では、アップルの仲裁があったとされ16年に和解した。サムスンとの訴訟では、当時は規模の差から「エビがクジラに挑む」と形容されたが、後に和解し、ラーガンはサムスンからの受注も獲得した。
ラーガンは10年前に日本勢から特許訴訟で提訴された経験を教訓とし、特許固めを進めてきた。スマホのカメラレンズが3P設計だった頃から6P、7Pの特許取得に注力しており、林執行長の今年の発言によると、既に2,700件以上の特許を取得し、5P以上ではほとんどを網羅している。今後スマホのカメラレンズ規格の9Pへの向上が見込まれる中、ラーガンは▽生産規模▽技術力▽良品率の高さ▽特許の網羅──で世界最大手の地位を強固にし、競合との差を広げていくと見込まれる。
業界関係者は、ラーガンの特許は質の高い発明型が多く、改良型の特許が多い他の光学レンズメーカーの特許600~700件をもってしても、ラーガンの特許100件に勝てないと分析した。
【表】
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722