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ノートPC、下半期見通しに陰り


ニュース 電子 作成日:2008年7月29日_記事番号:T00009174

ノートPC、下半期見通しに陰り

 
 ノートパソコン(ノートPC)受託製造2位、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)の陳瑞聡総経理は28日、下半期の業界景気の見通しについて、従来の楽観視から慎重な立場に転じたことを明らかにした。ノートPC業界は、半導体と液晶パネル業界が当面落ち込むと観測される一方で強気見通しが伝えられてきて、29日経済日報によると「下半期のスター産業」と目されていた。このため、陳総経理の発言は関連業界の強い懸念を呼ぶとみられる。
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 陳総経理は、「米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題など、不利な要素によって確かに悪影響がある」と発言。インテルの新プラットフォーム「セントリーノ2」の発売が第3四半期にずれ込んだため、第2四半期に抑制されていた購買意欲が第3四半期に盛り上がると期待していたが、そうした動きはみられないとした。ただ、6月上旬に示した「第3四半期の出荷は前期比20%成長する」という見通しについては、変更する考えはないとも語った。

 なお、同日は受託製造の最大手、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)の梁次震副董事長も、「経済が悪化を続ければ、ノートPC産業も影響を免れ得ない。サブプラ問題はノート業界にも悪影響がある」と発言している。

インフレは想定外

 陳総経理の発言について市場関係者は、「米マイクロソフトが先日行った財務予測の引き下げが重要な警告だ」という見方を示した。また、ある証券会社は、「今年のノートPC市場の予測では、サブプラ問題は折り込まれていたが、原油価格の高騰による世界的なインフレは計算外だった。受託製造メーカーの年初当時の出荷目標は、低価格ノートの受注がなければ達成は難しかっただろう」と指摘している。

「99ドルPCの登場も」

 陳総経理はまた、人気となっている低価格ノートカテゴリーについて、さらに低価格化が進み、「1台99米ドルという価格が現れるのもそう遠いことではない」という見方を示した。

 その根拠として、華碩電脳(ASUS)がフランステレコム、テレコムイタリア、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)、台湾大哥大(タイワン・モバイル)など、海外および台湾の電信業者と提携してEee PCをパッケージ価格で販売した例を挙げ、「アップルのiPhoneと同様の成功モデルになる」と語った。受託製造メーカーにとっては、「粗利の確保が課題だが、今後10年間の商機は無限」と期待感を示した。

上海・南京にソフトR&Dセンター

 陳総経理はこのほか、同社がPCソフトの研究開発(R&D)に積極的に取り組んでいるとして、今年上海と南京にソフトR&Dセンターを設置し、主に低価格ノートやモバイルデバイスに用いるリナックスプラットフォーム向けの開発を行っていると語った。現在、センターの人員は150人で、年末までに200人規模に拡大する方針だとしている。