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《ワイズ横丁》台湾在来種の蘭嶼豚、人工授精に成功/台湾


ニュース 社会 作成日:2021年1月28日_記事番号:T00094455

《ワイズ横丁》台湾在来種の蘭嶼豚、人工授精に成功/台湾

 行政院農業畜産試験所(畜試所)台東種畜繁殖場は26日、2005年に凍結保存した精子を使い、台東県の離島、蘭嶼の在来種「蘭嶼豚」の人工授精に成功したと発表した。3頭の母豚は、無事に14頭の子豚を出産。解凍後の精子の生存率が低いため難しいといわれる豚の人工授精に成功した。

/date/2021/01/28/19pig_2.jpg無事に生まれた子豚。蘭嶼豚の毛色は黒で、小さな耳が特徴だ(台東種畜繁殖場提供)

 蘭嶼豚は、非常に小型な台湾特有の在来種。蘭嶼島では各家庭で飼育されており、蘭嶼に住む原住民、タオ族にとっては富の象徴ともなっている。英国のラーソン博士ら欧州連合(EU)チームが10年、世界の家畜豚と野生豚のサンプルを比較分析したところ、蘭嶼豚は特異な遺伝子を持つ、2万9,000年の歴史ある古代種だと判明した。

 章嘉潔・台東種畜繁殖場長は、蘭嶼豚は機敏で野性味に溢れ、精液の採集は一般の養豚の豚よりも難しいと説明。また、豚の精子細胞膜は温度に敏感で、05年に精子を凍結保存して以来、15年間全く解凍してこなかったと明らかにした。

 スペインのイベリコ豚や沖縄県のアグー豚など各国の特有種についての研究会、「ファッティーピッグ国際研究会」を台湾が21年に主催すると決まったことから、畜試所は昨年3月、15年前に凍結保存した精液を解凍した。顕微鏡で観察したところ、解凍した精子の運動能力は非常に高く、通常の精子と変わりがなかった。そこで、生殖能力の高い3頭の母豚を選び、交配したところ、昨年7月に無事に14頭が生まれた。

 畜試所は、豚の精子が温度に敏感なことから、05年にコンピュータープログラミングによる温度制御装置を導入。精子の凍結保存・解凍の質が大幅に向上した。

 黄振芳・畜試所所長は、凍結精子による人工授精に成功したことで、種の遺伝子を保存できるようになったと指摘。黒豚種や洋種にも応用可能なことから、多様性を守ることにつながると述べた。

 また、黄所長は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大が深刻なことから、ウイルスが台湾でも広がって在来種が消失してしまうことを防ぐ上で蘭嶼種の保存活動は重要だと指摘した。貴重な在来種を後世に引き継いでいってほしいものだ。