ニュース 社会 作成日:2021年3月10日_記事番号:T00095006
花蓮県吉安郷では日本統治時代、高級日本酒の原料となる酒米(さかまい)として知られた米の品種「吉野一号」が広く栽培されていた。その後、台湾では日本酒文化が廃れ、吉野一号も姿を消したが、最近、この米で作った日本酒を再現するプロジェクトが進められており、このほど地元小学生による田植えが行われた。
文献によると、日本時代当時、吉野村と呼ばれた現在の吉安郷へ熊本県から移り住んだ青木繁という人物は台湾の米に食べ慣れず、故郷の「菊池米」と台湾産インディカ米をかけ合わせて新品種「吉野一号」を開発。その香高いおいしさから天皇にも献上され、「天皇米」とも呼ばれたそうだ。
日本酒文化を研究する高雄餐飲大学の陳千浩助理教授によると、吉安郷でかつて約1,000ヘクタールもの水田で栽培されていた吉野一号には、酒米に必要となる「心白(米粒の中心の白濁した部分、しんぱく)」があり、当時は多い時で1,700トンもの米が酒造メーカーに出荷されたという。
戦後、台湾における日本酒文化は徐々に衰退し、吉野一号が作られることもなくなった。ただ、かつて「酒米の王」の異名を取った同品種で作られた日本酒を飲んでみたいと考える者はいたようで、これまで宜蘭県や花蓮県で吉野一号を植えて日本酒を作る計画が推進されたが、当時の味を再現することはできなかった。
今回、吉安郷農会(農協)と花蓮区農業改良場、高雄餐飲大学の研究チームが共同で、吉野一号を栽培し、日本酒を醸造することを決定。このほど、地元の稲香小学校そばの水田で小学生とともに田植えが行われた。
6月ごろに収穫された後、酒造りが進められ、11月には約1,000本の日本酒が完成する予定だ。専門家による鑑定結果と市場の反応を見て、今後の事業化を判断する。
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