ニュース 政治 作成日:2021年4月14日_記事番号:T00095561
日本政府が13日、東京電力福島第1原子力発電所から放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を2年後をめどに開始する方針を固めたことについて、台湾政府から懸念表明が相次いだ。
農委会の陳吉仲・主任委員は13日、影響は台湾だけにとどまらないと指摘した(13日=中央社)
14日付蘋果日報によると、台湾総統府の張惇涵・報道官は「関係部門が日本側に重ねて強い懸念を伝えており、政府としても日本と国際原子力機関(IAEA)による今後の対応を引き続き注視し、周辺海域での観測と影響評価を強化していく」とコメントした。
台湾外交部は「既に関係機関を通じて、日本側に懸念を伝えた。日本に各界のさまざまな意見を直視するよう求める」とした。
原子力行政を担当する行政院原子能委員会(原能会)は既に放射性物質を含む処理水の海洋拡散シミュレーション計画、台湾周辺海域での放射能測定などに向け、関係官庁による検討を開始したと説明した。原能会は台湾周辺海域に観測点33カ所を設けている。
サンマ漁場が指標
行政院農業委員会(農委会)は「もし処理水に問題があれば、最も近い福島のサンマ漁場が指標になり、日本自身がまず被害を受ける。日本も台湾も北西太平洋でサンマ漁をしており、サンマに異常があれば、海水全体に放射能が含まれることを示す」と指摘した。
宜蘭県蘇澳区の漁業協同組合、蘇澳区漁会の蔡源龍・理事長は「現時点で台湾の漁民への影響は予測できないが、漁民の立場で日本側の決定に反対する」と述べた。
台湾の複数の環境団体で構成する反原子力団体「全国廃核行動プラットフォーム」は「近隣国家の環境生態、海洋漁業、人々の健康を放射能汚染の脅威にさらす」とする反対声明を発表した。
中国・韓国も反対
今回の決定には台湾のほか、中国、韓国も反対や懸念を表明している。
ただ、原発からの同様の処理水排出は世界的にこれまでも行われてきたものであり、科学的に環境への影響はないとの判断が前提となっている。実際に福島第1原発からの処理水排出時にはトリチウムの濃度を世界保健機関(WHO)が定める飲料水基準の7分の1まで薄めることになっている。
日本側は今後、処理水排出に先立ち、データに基づく丁寧な説明を周辺国・地域に行い、理解を求めることが必要となりそうだ。
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