ニュース 社会 作成日:2021年4月15日_記事番号:T00095597
台南市の60代男性が夜勤明けに朝食を取るため寄り道し、その帰りに交通事故に遭った。労災給付を申請したところ、労働部労工保険局(労保局)に通勤途中でなくプライベートと認定されてしまった。男性が不服として台南地方法院(地方裁判所)に申し立てを行ったところ、判決書に「仕事帰りの台南グルメはささやかな幸せだ」と明記され、朝食のための寄り道も通勤の範囲内として、労災給付が認められた。
黄・台南市長が紹介した塩がゆ。台南名物のサバヒー(虱目魚)とお米を煮込んでいる(同市長FBより)
台南市の60代男性は2014年、夜勤を終え、市場で朝食に塩がゆを食べた帰り道に交通事故に遭った。労保局に労災の給付を申請したところ、労保局は朝食を食べるための寄り道は通勤経路ではないとして申請を却下した。男性は不服とし、台南地方法院に申し立てを行い、2017年に勝訴した。
台南地方法院は、男性は長年台南で暮らし、夜勤後に台南の伝統グルメである塩がゆを朝食に食べるのは1日の「小確幸(小さいけれども、確かな幸福)」で、台南の年長者の習慣だと指摘。所要時間や距離も合理的な範囲内だとし、男性の申し立てを認めた。
労保局は高雄高等行政法院に上告したが棄却され、男性に18万台湾元(約70万円)を給付した。
この台南地方法院の判決文が、ある漫画家のフェイスブック(FB)に近ごろ掲載され、インターネットで再び話題になった。
これを受け、労保局の馬襄玲・職災給付組専門委員は14日、労保局は通勤途中の労災について、通勤経路や所要時間などを検討の上、認定しているが、判決を受けて一部を見直し、出勤前や退勤後の食事や、子供の送り迎え、現金自動預払機(ATM)での現金引き出しなどの行為を合理的な範囲に含めたと述べた。
司法院もFBに、仕事に必要な栄養を取ることは労務を提供するための準備で、5分かけて最寄りの塩がゆ店に立ち寄るのは合理的な範囲と投稿した。またお気に入りの塩がゆ店をコメント欄で教えてほしいと呼び掛けたことから、台湾各地の朝食グルメの投稿が相次いだ。
黄偉哲・台南市長は自身のFBに、裁判所が認めた台南の朝食だと塩がゆの写真を投稿した。黄敏恵・嘉義市長は司法院のFBに、鶏肉飯(鶏肉ご飯)、米糕(もち米を蒸した料理)、四神湯(薬膳スープ)などの写真を投稿した。陳其邁・高雄市長は、鍋焼き麺や肉圓(バーワンと呼ばれる肉入りモチ)、海鮮などが高雄の朝食だとアピールした。
台湾では「ご飯食べた?」があいさつにもなっている。中でも朝食が非常に重要視されていることがよく分かる。
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