HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

《ワイズ横丁》母親のため保護動物を狩猟、有罪の原住民に恩赦/台湾


ニュース 社会 作成日:2021年5月21日_記事番号:T00096273

《ワイズ横丁》母親のため保護動物を狩猟、有罪の原住民に恩赦/台湾

 蔡英文・総統は20日、違法な狩猟活動を行ったとして有罪判決を受けた原住民ブヌン族の男性、王光禄さん(部族名・Tama Talum、60代)に対し、原住民文化を尊重し、エスニックグループの発展促進を目的として恩赦を与えると発表した。

 日ごろは台東県で農業を営む王さんは2013年、高齢の母親から「山の珍味が食べたい」との願いを聞き、狩猟用の銃を持って山に入り、タイワンカモシカとキョン(シカの一種)を仕留めた。

 狩猟文化を持つ原住民が猟銃で動物を狩ることは法律で認められているものの、▽伝統文化に基づく儀式などの場合に限る、▽事前に申請が必要、▽保護対象となる動物を狩ってはならない──などの厳しい規定が設けられている。

 王さんは、狩りを行った翌日、規定に従わなかったとして警察に逮捕された上、「銃砲・弾薬・刀剣管理条例」や「野生動物保護法」違反で起訴され、3年6月の有罪判決を受けた。王さんは上訴したものの、主張は受け入れられず、15年には最高裁も従来の判決を維持するとの判断を下した。

 その後、最高検察署の検察総長が最高裁での審理において適用された法律に憲法違反の疑いがあるとし、非常上告の申し立てを行うとともに、司法院に違憲審査を請求した。

 司法大法官会議(憲法裁判所に相当)は今月7日、関連法に定められた、「原住民が狩猟に使用する銃は自製の前装銃(銃口から弾を装填するタイプの銃)に限る」という点は安全上の疑いがあると判断したほか、「狩猟活動の5日前までに申請が必要」「申請時に狩猟する動物の種類と数量を申告する」との内容については「柔軟性に欠ける」「比例原則に反する」との理由で違憲とした。

 一方、原住民に狩猟が認められる動物に保護対象の動物は含まれないとの規定など、その他争点となった項目については合憲と判断したことから、王さんは有罪が確定し、収監される見通しとなっていた。

 そんな中、蔡総統は、王さんの行為は関連法に抵触したとはいえ、営利目的ではなく家族に食べさせるための狩猟であり、自家用の狩猟は司法大法官会議でも原住民の伝統文化と認められ、情状酌量の余地があるとして恩赦を決めた。

 恩赦が決まったとの知らせを受けた王さんは、「この結果を待ち望んでいた、主に感謝する」と喜びを語った。