ニュース 社会 作成日:2021年6月8日_記事番号:T00096593
彰化県はぶどうの生産量が台湾の半分以上を占める。新型コロナウイルス域内感染の確認が相次ぐ中、彰化県では、ある果物仲卸業者が台北市万華区にぶどうの納品に出掛けたことがきっかけとなり、家族をはじめ100人以上に感染が広がる事態となった。この仲卸業者一家は、社会から「戦犯」扱いされ、インターネット上に個人情報が拡散。自宅にごみが投げ込まれたり、いたずら電話がかかってくるようになった。
彰化県で新型コロナウイルス感染が拡大するきっかけとなった果物仲卸業者の妻と長男がメディアに語ったところによると、この業者は、5月中旬に茶芸館でのクラスター(感染者集団)が発生した台北市万華区に、夫婦でぶどうの納品に出掛けた際に感染したとみられる。
彰化県に戻った夫婦のうち妻は、特に何の症状もなかったため、結婚式に出席した。その後、少し熱が出た上、ニュースの報道などをみて不安になったため、夫婦で診療所へ行き、診察してもらったところ、風邪薬を処方され、よく休むよう助言を受けただけだった。ところがしばらくして長女も体調を崩したため異常を感じて病院へ向かい、自費で検査を受けたところ感染が確認された。
その後、仲卸業者夫婦と3人の子供、孫、さらに子供の結婚相手の家族、計12人がウイルスに感染していることが発覚し、隔離され治療を受けることとなった。今月4日、娘の義理の祖母が亡くなるという悲劇にも見舞われた。
この一家に関連する感染者の数は計112人に拡大した。6日現在で彰化県全体の感染者の半分以上を占めている。仲卸業者の娘の義祖母を含め3人の死者も出ている。こうしたことから、この一家を戦犯視する者も多いようで、隔離措置を終えて自宅へ戻った後、玄関先にごみがばらまかれたり、「あんなに大勢が入院しているのに、よくピンピンして出て来られたな」「お前たちがふらふら出かけなければ、死人も出なかった」などと非難する匿名の電話もかかってくるようになった。
こうした個人攻撃を避けるため、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)は昨年より、感染拡大の防止に必要な場合を除き、氏名を含む個人情報の公表を禁じている。しかし、メディアの報道やインターネット情報などを通じて仲卸業者一家の情報は、あっという間に特定されてしまったようだ。
「コロナより人間が怖い」といわれるように、仲卸業者夫婦は、感染拡大のきっかけを作ったことにショックを受け、自責の念や後悔でかなり落ち込んでいるそうだ。長男は「父と母は感染を知っていれば外出することはなかった」と訴えた。政府やメディア、社会に対し、魔女狩りのように感染者を非難するのではなく、思いやりと包容力を持って接してほしいと呼び掛けた。
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