中部科学工業園区(中科)は20日、第4期基地を彰化県二林で開発すると発表した。同基地には、友達光電(AUO)の第10、第11世代パネル工場も建設される。新竹科学工業団地(竹科)の新竹県・苗栗県から南部科学工業団地(南科)の台南県までの間で、唯一ハイテク工業団地を持たなかった「空白県」の彰化県の選出により「西部科学技術コリドー(回廊)」が完成し、パネル・半導体・精密機械の産業チェーンの強化による国際競争力向上が期待されると同日付経済日報は報じている。
中科の4期基地となるのは、彰化県二林鎮および渓湖鎮に位置する台湾糖業の大排沙農場と万興農場(887ヘクタール)で、来年第3四半期までに引き渡しが行われる予定だ。4期基地には、彰化二林のほか、▽嘉義県馬稠後▽雲林県虎尾▽彰化県和美▽南投県名間▽台中県清水▽彰化県浜海工業区──などが誘致に名乗りを上げていた。
友達の総投資額、1兆元突破へ
友達の李焜耀董事長は先日、4期基地の場所について、現在の中科から自動車で30~40分以内のところが好ましいという見方を示した。同社は19日、今後の工場拡張に対応できる十分な用地を政府が提供することを望んでいるとコメントした。
友達は4期基地に4,000億台湾元(約1兆4,000億円)を投じて、第10世代工場2基と11世代工場2基を設立する。なお、友達はこれまで台湾での工場建設に6,000億元を投資しており、現在建設中の第8.5世代工場の投資額は1,000億元以上に上る。これらを合わせると、台湾パネルメーカーとして初めて投資額が1兆元を越えることになる。
工業用水90万トン供給可能に
行政院は経済部水利署に台中県の河川、大肚渓で築堰(ちくせき)工事を進めるよう求めており、これにより彰化県の4期基地などで必要な工業用水を賄う考えだ。
水利署は、200億元を投資して大肚渓の河口と大肚橋の上流100メートルの地点に河川堰を設置する計画とされる。来年6月に行政院環境保護署による環境影響評価が始まり、10年初頭に着工、12年完成の予定だ。これにより、1日当たり80万~90万トンの工業用水供給が可能になるという。
水利署の統計によると、一帯の工業団地で必要となる工業用水は、▽中科第4期基地、1日当たり最大25万トン▽国光石化が建設予定の石化プラントおよび台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサプラント(雲林県)、合計30万トン▽彰浜工業区(彰化県)、5万トン──となっている。
用地不足が深刻化
中科は現在、▽台中市(413ヘクタール)▽台中県后里郷(255ヘクタール)▽雲林県虎尾鎮(98ヘクタール)──の3カ所に分散して設けられ、面積は合計766ヘクタール。竹科や南科に比べると手狭で、進出を希望する企業は多いが、提供できる用地が足りない状態だった。
中科に進出する企業の今年の売上高合計は、前年比35%増の3,600億元の予測。3年後には1兆元を突破する見通しだ。