ニュース 医薬 作成日:2021年7月13日_記事番号:T00097197
台湾の新型コロナウイルス感染症ワクチン確保が遅れたことを巡り、中台の舌戦が激化している。
行政院の羅秉成・報道官は12日、政府はBNTのワクチンを調達しないといううわさがデマだったことを証明したと語った(12日=中央社)
独ビオンテック(BNT)からの1,000万回分のワクチン確保は、民間企業である台湾積体電路製造(TSMC)、鴻海精密工業系の慈善団体、永齢基金会がワクチンの独占代理権を保有する上海復星医薬と契約を結び、台湾政府に寄贈するという異例の形となった。こうした複雑な形となった背景には「中国の介入」(蔡英文・総統)があったとみられている。
中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光・報道官は12日、「台湾では最近、大陸(中国)が台湾のワクチン獲得を妨害し、商取引で政治的な圧力をかけているというデマがある。そうした主張は反論を待たずに破綻している」と台湾側を批判。中国企業の上海復星医薬を通じたBNTのワクチン供給については「実現を楽観している」と述べた。
それに対し、台湾の大陸委員会(陸委会)は「外部圧力による干渉と妨害がなければ、台湾によるワクチン購入はもっと順調で、契約済みのワクチンも予定通り速やかに台湾に到着したはずだ」と反論した。
日米の支援がプレッシャーか
中国は台湾を締め付けるため、BNTのワクチンの供給に待ったをかける選択肢もあったはずだ。しかし、最終的に供給を容認したのは、主要国が台湾に大規模なワクチン供給を行い、譲歩を余儀なくされた結果だと分析されている。
13日付自由時報によると、台湾の政府・与党関係者は「中国政府が台湾を妨害しない方針に転じ、急に譲歩したのは、米国や日本などの民主主義国家が台湾に大規模なワクチン支援を行い、中国にプレッシャーが加わったためだ。中国がワクチン供給を認めなければ、逆に台湾のワクチン購入を妨害していると証明することになるからだ」と指摘した。
一方、国民党の江啓臣・主席は国民党が首長ポストを占める南投、花蓮、雲林、台東の4県が医薬品商社を通じ、BNTのワクチン250万回分の調達を計画しており、衛生福利部(衛福部)に申請を行ったと述べた。これに対し行政院の羅秉成・報道官は、BNTのワクチンは仏教系慈善団体の仏教慈済慈善事業基金会(慈済基金会)が調達予定の分を合わせると、今年の執行分が計1,500万回分となり、現時点で新たに調達計画は必要ないと説明した。
今回のワクチン導入を巡っては、BNTのウール・シャヒン最高経営責任者(CEO)が微信(ウィーチャット)の上海復星医薬の公式アカウントを通じ、「台湾の人々に欧州で製造したワクチンを供給できることをうれしく思う」とするメッセージを寄せたが、その後削除されるという一幕もあった。
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