ニュース 社会 作成日:2021年7月19日_記事番号:T00097307
昨年5月、約10カ月間の保護を経て、追跡装置を装着した上で台東県の山に放されたツキノワグマ(台湾黒熊)からこのほど、装置が外され、完全に自然に帰ることとなった。
木の幹のオレンジ色の部分が、ムラスのものとみられる引っ掻き跡だ(台東林管処リリースより)
このクマが保護されたのは2019年7月のこと。当時は生まれて数カ月とみられる子グマで、原住民ブヌン族の集落、台東県海端郷広原村近くで母グマとはぐれ、野犬に追われているところを周辺の農家に助けられた。その後、行政院農業委員会(農委会)林務局台東林区管理処(台東林管処)で保護、飼育され、ブヌン語で野イチゴを意味する「ムラス」と名付けられた。
ムラスは、野生の中で生きていくための訓練を受け、昨年5月、衛星通信による追跡装置を搭載した首輪を付けた上で山に帰されることとなった。
台東林管処はその後、追跡装置を通じてムラスを見守り続けたが、1年が経過して十分に大きくなり、環境にも適応したと判断し、バッテリーが切れるのを前に衛星から装置の解除を命じる信号を発信した。
台東林管処はこのほど、ムラスが放された場所から直線距離で3キロメートルほど離れた渓流そばの木の根元に、取り外された首輪を発見した。ムラスの姿を目撃することはなかったが、周囲にはクマが引っ掻いたような爪の跡が付いた木が多く見つかった。
この場所はムラスが放された場所からそれほど離れていないものの、複数の山や川に隔てられており、林管処の担当者が到達するには丸1日近くを要した。このため周囲にほぼ人の気配はなく、人間界からは隔絶したエリアとなっている上、クマの食物資源も豊富かつ多様で、ムラスはここに安定した生息地を築いたと判断された。
台東林管処の林孟怡・育楽課長は、回収した追跡装置からはムラスの足跡だけでなく、より詳しい活動の様子や生理データを入手することができると説明。野生のツキノワグマに関する理解がさらに深まり、今後の保護活動にとって重要な一歩となると語った。
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