ニュース 社会 作成日:2021年8月27日_記事番号:T00098046
台東県の離島、蘭嶼に暮らす原住民、タオ族が先祖伝来のカヌーに似た小型木造舟「チヌリクラン」で台湾一周を目指すチャレンジを8月12日にスタートさせた。現在、北回りで航海を続けており、26日には嘉義県の海岸に到着した。
故宮南院でのパフォーマンスを目にした多くの観光客がスマートフォンのカメラで撮影した(26日=中央社)
航海でリーダーを務める張世凱(族名・Syaman Misrako)さんによると、新型コロナウイルス感染症の流行で多くの市民が不安になる中、タオ族の仲間と話し合い、チヌリクランで台湾一周に挑戦することを決めたという。約1カ月をかけてチャレンジを成功させ、あきらめずに運命に向かい合うタオ族の精神を示したいと意気込む。
チヌリクランは、トビウオ漁などに使用するほか、儀礼にも使われる神聖な舟で、舳先が大きくそりあがった特徴的な形と、赤、白、黒の鮮やかな文様が施された美しいデザインで知られている。
航海に使用されているのは、蘭嶼で採れた木材を張り合わせて製作した3人乗りのチヌリクランだ。漕ぎ手は計6人で、2チームが交代で漕ぎ進めている。
張さんはチームの結成にあたり、全土の市民に参加を呼びかけたそうで、漕ぎ手の1人は台北市で生まれ育ったタオ族の男性。自分のルーツであるタオ族の文化を理解するため、チームに加わったとその動機を語った。
3人が乗り込んだチヌリクランは8月12日に台東県の長浜海岸を出発した。▽花蓮県、▽宜蘭県、▽基隆市ーーの海岸沿いを北上、台湾本島の北端を回った後、西海岸を南下し、新竹県南寮漁港などを経由しつつ、26日に嘉義県の布袋小確幸ビーチに到着した。
ここで一旦、チヌリクランはレッカー車で同県太保市の国立故宮博物院・南部院区(故宮南院)へ移動。蘭嶼文化を紹介するため、院内の人工湖、善湖で来館者に漕ぐパフォーマンスを披露した。
一行は今後、31日に屏東県東港鎮の大鵬湾国家風景区で20日間の航海を終える予定だ。
これまでの航海で直面した困難について聞かれた張さんは、「宜蘭と台中で出会った高波」と答えた。ただチームは落ち着いてこの難局を乗り切ったそうで、今回のチャレンジでは、コロナ禍で不自由な生活を強いられる台湾市民に、小さな舟で荒波を突破する姿を見せ、戦う気持ちを呼び起こしたいと語った。
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