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台湾の酒類市場について(前篇) 〜輸入酒類、10年で55%成長〜 最新データで読む市場動向と日本ブランドの存在感


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2025年8月5日

Y'sの業界レポート

台湾の酒類市場について(前篇) 〜輸入酒類、10年で55%成長〜 最新データで読む市場動向と日本ブランドの存在感

記事番号:T00123283

 台湾衛生福利部の最新調査によると、台湾では18歳以上の人口のうち、過去1ヶ月以内に飲酒した人は24.4%、つまり約4人に1人がお酒を飲んでいます。特に近年は、輸入酒類への需要も増加傾向にあります。本記事では、統計データに基づき台湾の酒類輸入と消費市場の現状を紹介します。

輸入酒類への需要が増加

 過去10年間、台湾の酒類総流通量(国産+輸入量)は7.4億~8億リットル台で大きな変動はありませんでしたが、2024年には輸入酒類の流通量が台湾産を上回りました(図1参照)。輸入酒類への需要が着実に高まっていることがうかがえます。

※:本記事で使用する統計データは、台湾財政部国庫署、財政部関務署、日本財務省の貿易統計に基づいています。統計によって単位が異なり、輸入・消費量は財政部国庫署および日本財務省では「リットル」、財政部関務署では「トン」で表記されている点にご留意ください。

輸入酒類は10年前と比べて55%成長

 財政部関務署の資料によると、2024年における台湾の輸入酒類の輸入額は12.5億米ドル、輸入量は35.1万トンに達し、10年前と比べてそれぞれ42%、55%の成長をしました(図2参照)。
 輸入量の上位3カ国は中国(48%)、日本(19%)、イギリス(9%)です。中国からの輸入酒類には、キリン、アサヒ、バドワイザーなどの海外ブランドを中国国内の工場で生産し、台湾に出荷しているケースが多く見られます。
 なお、2位の日本からの主な輸入品目は、ビール(58%)、焼酎・サワーなどの蒸留酒・再製酒(32%)、清酒などの発酵酒(6%)となっています。

台湾で最も多く飲まれている酒類はビール、ウイスキー、ワインの3種類

 財政部国庫署によると、2024年に台湾で最も多く消費された酒類は、ビール(5.16億リットル、全体の69%)、ウイスキー(2,400万リットル、同3%)、ワイン(1,760万リットル、同2%)の3種類です。ウイスキーとワインは、いずれも約9割以上が輸入品(ウイスキーは主に英国、ワインは多国から輸入)ですが、ビールについても過去10年間で輸入品の比率が31%から52%へと大きく増加しています。

日本のリキュール輸出、5割が台湾向け

 日本財務省の貿易統計によると、日本から台湾への酒類輸出額は159億円に達し、台湾は日本の輸出先として第3位となっています。品目別にみると、ビールの輸出量が最も多く、リキュールでは台湾向けが最大の輸出先であり、全体の51%を占めています(表1参照)。台湾では、スピリッツ(蒸留酒)に比べて手軽に楽しめるリキュールの人気が高まっており、これが需要拡大の背景となっています。

 

まとめ

 これらのデータから、台湾の酒類市場では輸入酒類の需要が年々高まり、過去10年間で輸入酒類市場は55%の成長を遂げました。日本は台湾における第2位の輸入相手国として、重要な位置を占めています。
 なお、前述のとおり、日本ブランドのビールが中国の工場で生産され、台湾へ出荷されるケースも多く見られます。そのため、統計に表れる数字以上に、日本ブランド酒類への需要の高さがうかがえます。

 台湾の消費者の嗜好や、現地ブランド・事業者の声については、後編で詳しく解説します。ぜひご期待ください。

【後篇】〜輸入ビールシェア48%まで拡大~ 輸入勢拡大と「台湾スタイル」バーの進化
https://www.ys-consulting.com.tw/research/123284.html

王敍馨

王敍馨

ワイズリサーチ社副主任

 前職で社長特別補佐として、意思決定に必要な情報収集や助言を行った経験を活かし、ワイズコンサルティングに入社。効率的に任務を遂行し、期待を超える成果を追求している。これまで培った経験とスキルを最大限に活かし、顧客から高い信頼を得ている。(言語)日本語△・中国語◎

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