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台湾水産物の市場概況及び未来展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2024年7月1日

Y'sの業界レポート

台湾水産物の市場概況及び未来展望

記事番号:T00116621

 台湾は日本の水産物の主要な輸出先の一つであり、日本の水産物は台湾の消費者から高い満足度を得ています。本記事では、台湾の水産物市場の規模、水産物の輸入規制の概要および注意点、そして未来の展望について紹介します。

台湾の水産物市場規模は約6,938億円、主に海運で輸入
 2022年の台湾農業部漁業署の統計データによると、台湾における水産物の生産額は690.5億台湾元(約3,370億円)で、遠洋漁業(メバチ、カツオ、キハダ、イカなど)が40%、養殖(サバヒー、ティ ラピア、ハマグリ、エビなど)が35%、沿岸漁業と沖合漁業が25%を占めています​​。
 輸入に関しては、2022年の台湾の水産物輸入総額は22.7億米ドル(約3,568億円)で、輸入量は年間約50〜53万トンで安定しています。主要な輸入品目はサーモン・サケ(13.3%)、白エビ(12.1%)、ホタテ貝(5.3%)です。輸入国トップ5は中国、日本、ノルウェー、ベトナム、チリです。
 台湾における水産物の輸入ルートは、7割が海運で、3割が空輸で行われています。海上輸送の水産物は冷凍品(ホタテ、エビなど)と水産原料です。冷凍品の主要な販売チャネルは量販店で、水産原料は加工業者が小分けしてから伝統市場の業者に販売されます。空輸の水産物は生鮮・冷蔵品(刺し身用魚、カニなど)で、主に高級日本料理やフランス料理のレストラン、5つ星ホテルに販売されています。

日本からの水産物は産地証明書が必須
 すべての輸入水産物は台湾の衛生福利部食品薬物管理署(FDA)食品審査および税関審査を受け、両方に合格すると輸入許可が下ります。海運と空輸の審査プロセスは同様ですが、空輸で輸送される水産物は腐敗しやすいため、審査が海運より迅速で、約1〜3日間で完了します。海運の場合は通常1週間かかります。
 日本福島第一原子力発電所事故の影響で、台湾は特に日本に対してすべての食品に産地証明書の添付が要求しており、一部の県(福島、茨城、栃木、群馬、千葉、宮城、岩手)からの水産物には放射性物質検査報告書の添付も必要としています。台湾側の放射線、重金属及び毒素の水際検査で基準値を超えた場合、台湾当局はその結果と産地をFDAのホームページに公表し、輸入者に対して廃棄または返送の行政指導を行います。
 また、台湾で流通するすべての食品には表示ラベル(中文:食品標示)に規制が設けられており、特に日本産食品には、表示ラベルに国名だけでなく都道府県単位の産地表示を求められています。

保存期間の延長が日本水産物の市場シェア拡大の鍵
 「保存期間を延ばすことで、日本水産物の市場シェアが拡大できた」と、台湾最大手の冷凍水産物輸入加工業者である元家企業(YEN & Brothers)の顔CEOが語りました。日本の先端養殖技術により、台湾では見られない多様な品種と高い鮮度の水産物が消費者の興味を引き、市場の満足度を高める要因となっています。元家企業は世界各国から多種多様な水産物を取り扱っており、特に日本の北海道からは高品質の帝王蟹や北海道漁協の安全認証を受けたホタテなど、人気の水産物を台湾の主要輸入者として市場に提供しています。
 輸入水産物の取り扱いに豊富な経験を持つ顔CEOによると、日本の水産物が台湾で市場を拡大するためには、冷凍水産物の保存期間を2年まで延ばすことが重要だということです。その理由は、台湾の輸入業者が安全在庫を確保するために平均在庫期間を8ヶ月としている一方で、多くの量販店が保存期限の半分以下の商品を仕入れないためです。保存期間を延ばすことで、日本の水産物がより多くの量販店で取り扱われるようになります。

技術提携や資金提携により第三国市場の開拓を期待
 日本との長期的な提携関係を築いてきた顔氏によると、これまでの提携関係は主に水産物の取引に限定されていましたが、水産産業において台湾の人件費が日本より安く、柔軟性の高いビジネスモデルを活用することで、今後は技術提携や資金提携により第三国市場の開拓も期待できると述べています。

(本記事の為替レート:1円:0.20台湾元:0.0064米ドル)

林芳米

林芳米

ワイズリサーチ社主任

 半導体、電子、機械などの幅広い調査案件を多数担当している。行動力が高く、与えられたミッションを達成するチャレンジ精神旺盛なリサーチャー。顧客視点で課題を捉え、創意工夫を重ねることで最適な調査には定評がある。(言語)日本語△・中国語◎

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