リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2026年8月13日
機械業界 電子・半導体記事番号:T00130172
パワー半導体メーカー、強茂(パンジット・インターナショナル)の2026年上半期(1~6月)の連結売上高は73億7700万台湾元で、前年同期比14%増加し、過去11年で最高となった。AI(人工知能)サーバー向けの金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)やダイオードなどの需要が拡大したほか、車載向けも好調だった。6月の出荷受注比率(BBレシオ)は1.6に上った。
パンジットは10年以上かけ、粗利益率が低い受託生産モデルから車載・AI向けを成長エンジンとする事業モデルへの転換に成功した。年間売上高を10億米ドル(約320億台湾元)へと現在の2倍以上に引き上げる目標を掲げている。

16年前に車載向け参入、生産体制を改善
パンジットは当初、家電やノートパソコンなど消費者向け電子製品向けのダイオードを受託生産していたが、粗利益率が3~4%と低かったことから、10年に車載向け半導体に参入した。認知度や実績に乏しいため、最初の8年間は自動車ライトや車載映像・音声・娯楽システム向けなど安全性要求の低い製品しか供給できなかった。そこで18年以降、海外の受動部品や半導体大手メーカーに勤めていた人物を専門経営者として招き、工場の自動化など生産体制の抜本的な見直しを進めた。ソフトウエアや設備などハードウエアの刷新と厳格な品質管理制度の導入に100億元を投じ、自動車メーカーやVDA(ドイツ自動車工業会)の規格に準拠させた。DPPB(10億個当たりの不良数)は以前の10以上から6に改善した。こうした努力が後に、要求レベルが高い海外の自動車メーカーやAI向けで実を結ぶこととなった。

コロナでADAS・EPS向け受注
20年以降のコロナ禍で海外のパワー半導体大手が供給不足となった際、パンジットは自動化生産ラインと複数の国・地域での安定した生産体制を生かし、欧州や中国の多くの自動車メーカーから先進運転支援システム(ADAS)や電動パワーステアリング(EPS)向けなど安全性要求の高い製品の受注を獲得した。また、オランダに本社があり、中国資本となった半導体メーカー、ネクスペリアが経営権争いで25年9月以降に出荷が混乱した際も、パンジットはネクスペリアの顧客から振り替え受注を獲得した。パンジットの車載用電子製品(カーエレクトロニクス)向けの売上高構成比はコロナ禍初期の10%余りから、最近では35%まで上昇した。

AI向け14%に上昇
パンジットは、車載分野で培った大電力・高耐圧・高周波スイッチング技術を生かし、AIサーバー市場に参入した。膨大な演算処理を行うAIサーバーに搭載するパワー半導体には、車載製品と同水準の高電圧耐性やノイズの少ない電力供給が求められる。
パンジットは、台湾の複数の電源装置大手が手掛けるAIサーバー用バッテリー・バックアップ・ユニット(BBU)、電源ユニット(PSU)向けや、台湾の冷却モジュール大手3社が手掛けるAIサーバー用空冷システム、液冷システム向けのパワー半導体の供給を開始した。AI向けの売上高構成比は26年に14%と25年末の2倍に上昇した。
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