記事番号:T00062655
一.自動車部品業界の最大ニーズ:無人搬送車
工業技術研究院の調査によると、ロボット活用分野に対する自動車部品およびカーエレ(カーエレクトロニクス)業界の期待感分布は、高いほうから順に▽無人搬送車、13%▽計測・検査、9%▽組立・固定、8%▽未分類その他の組立、6%▽送料、5%▽スポット溶接、5%——となっている。
中国は基本賃金の上昇および労働力不足に陥っているほか、製品の質を維持しながらコストを削減するという課題に直面しているため、大半の企業では産業用ロボット導入に意欲的である。産業用ロボットの価格はおおよそ61〜80万台湾元もしくは21〜40台湾元ほどであり、また、ビジョンシステムとセンシングシステムを結びつける機種は、更に21〜40%増もしくは10〜40%増の価格差となっても妥当だと考えている企業が多い。なお、自動車部品業界がインテリジェントロボットを導入する最大の目的は品質の向上であるため、関連製品を開発する際には、自動車部品の品質の強化および不良率の改善を目指さなくてはいけない。
二.自動車用プラスチック部品業界とは
自動車用プラスチック部品は主に下記の四種類に分けられる。
▽自動車内装材
ダッシュボードやシートなど、自動車内装により良い感触を与えるために、▽ポリプロピレン(PP)▽ABS樹脂▽ポリ塩化ビニル(PVC)▽ポリウレタン——が使われ、この分野での使用量は自動車用プラスチック部品全体の32.7%も占めている。
▽エンジンとトランスミッション
発電機、燃料タンク、コネクタ、配管には▽ポリアミド(PA、ナイロンとも呼ばれている)▽ポリブチレンテレフタレート(PBT)▽PVC——が使われ、この分野の使用量は自動車用プラスチック部品全体の29.8%も占めている。
▽自動車外装材
バンパーやヘッドライトなどの部品は、高い耐衝撃性及び耐候性が要求されるため、PPやポリカーボネート(PC)が使われ、使用量は自動車用プラスチック部品全体の29.1%を占めている。
▽電気製品
各種類のプラスチックが自動車用電気製品に使われ、使用量は自動車用プラスチック部品全体の8.4%を占めている。
三.台湾企業
台湾自動車用プラスチック部品業界には▽可州企業▽伍輪企業▽如陽電機▽東陽実業▽耿鼎企業▽裕器工業▽聯成金属製造▽豊裕——などの企業があり、数十軒以上の世界自動車メーカーと取引している。それぞれの自動車メーカーは▽設計▽品質▽機能▽安全性▽材料▽コスト——を考慮しており、たとえ同じ部品だとしても、各メーカーの製品規格及び標準は異なっている。例を挙げれば、同じ黒いシートでも、各メーカーは独自のデザインを採用しており、標準仕様の製品は存在しない。これからは自動車用プラスチック部品の使用者と生産者が直面している課題について説明する。
▽使用者
部品に共通の標準や規格がないことは、各自動車部品提供者の品質保証部の頭を悩ませている問題であり、たとえ一軒の会社の基準を満たしても、他社の基準を満たすことができるとは限らない。そのため、仕入れ部品の品質を確保するため、各自動車メーカーはそれぞれの検証システムを持っている。
▽生産者
台湾自動車用プラスチック部品企業はアフターサービスを提供しているが、下記の原因により、製品品質の向上と付加価値の強化という問題に関して、ボトルネックに直面している。
1.現存取引相手には検査に関わる人材がおらず、人材の育成も困難である。
2.品質保証部の従業員は品質保証に関する経験が少ない。
3.普通企業の規模では、各自動車メーカーの少量発注に対応できる検査部門がない。
4.仕入れ先はテストデータを提供することができない。
5.自動車完成車メーカーは出荷時間短縮を図り、余裕がない。
6.製品の検査を設計するには、時間と経験が必要である。
四.結論
自動車用プラスチック部品業界では製品の種類が多く、取引先の規格も異なっているため、検査を強化して歩留まり率を向上させることが、 先進製造技術を開発するべき方向である。なお、ビジョンシステムとセンシングシステムの機能を備えるロボットの開発に関して、価格差を考慮して部品メーカーのコストを削減させ、歩留まり率を向上させるべきである。
科学技術の進歩に伴い、自動車展示会や電気自動車展示会において、自動車メーカーは技術力を強調し、材料を変更する傾向にある。世界の動向に遅れをとらないために、台湾自動車部品業界も新製品と新技術を普及させる必要がある。
エネルギー規制により、軽量化は世界中で話題となっており、最近五年間の開発重心となっている。世界的な例を挙げれば、BMWのi3に使われる複合材料、炭素繊維、高張力鋼、樹脂などは強度と硬度を維持しながら、厚さ及び重さを大幅に削減できている。2013年末から経済部が台湾石油化学産業と自動車部品産業を再構築するように計画しており、川上から川下までの環境保護を意識させながら軽量化自動車を開発するように促進させている。この推進によって▽原材料▽モジュール▽自動車用プラスチック部品——を含む自動車部品の開発・設計が一貫体制となり、自動車完成車分野において台湾の競争力を向上させる可能性を秘めている。
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