記事番号:T00062679
台湾製造業の高度化
産業の高度化は一種、相対的な概念だが、狭義においては製品、企業、産業の付加価値を高めることを指し、より広義に見れば国家、企業、労働者個人の財務的、戦略的、社会的な目標達成に貢献するという意義を持つ(表1)。例えば財務面において産業高度化は国家にGDP増加および税収増を、企業に増益と成長を、労働者にはより充実した報酬と退職金の確保をもたらす。また台湾の製造業にとって産業高度化は、企業の収益力向上や産業規模の拡大、労働者の昇給をもらたすほか、研究開発(R&D)を通じた知的財産権の蓄積と産業の永続的発展を促すことになる。
こういった中、台湾では特に、精密機械設備、精密機械部品加工、電子製品およびその部品、自動車・バイクおよびその部品産業といった比較的生産額の高い産業において、技術、製品の高付加価値化が期待されている(表2)。
なお産業高度化を達成するため、企業にはより価値の高い製品とサービスの提供、顧客の多様な需要に対応できる柔軟性と効率の高い製造能力が必要となる他、サプライチェーンについても統合と最適化、および環境的ストレス(省エネ・CO2排出量削減への対応、効率的な人材の確保など)を克服する能力が求められる。こういった状況の中、台湾の重要製造業が高付加価値化を目指す上で、ドイツにおいて進められている、「スマートファクトリー」を核心とした製造業の高度化プロジェクト「インダストリー4.0」が非常に有効な戦略になるとみられる。
インダストリー4.0推進が
台湾にもたらすチャンス
また、インダストリー4.0は、台湾製造業の高付加価値化にとって有効な戦略となるだけでなく、このコンセプトが世界に広まる過程で台湾の産業界に新たな発展のチャンスをもたらす可能性も秘めている。
ドイツ政府が進めるインダストリー4.0の主な目的は、新たな市場を創出し、同国が世界の製造業をリードする地位を維持することにある。このため将来的には欧州、アジア(特に中国)が、そのスマート技術、製品、サービスを応用する重要市場となると予想される。
こういった中、ドイツの産業界とアジアの製造業を融合させたサイバーフィジカルシステムの構築、あるいは特定の製造業分野で製造プロセスや製造設備とICT(情報・通信に関連する技術の総称)技術を統合する上で、そのパートナーとなり得る条件を備えた台湾は新たなチャンスを迎えることになる。
例えば、台湾はコンシューマ向けICTハードウエア製品および産業用PCの分野で既に世界の産業チェーンにおいて中心的な地位にあり、成熟したICT技術開発体系とバリューチェーンを備えているほか、ICT製品および半導体の製造、サービスの世界的な重要拠点となっている。このため台湾は今後、ドイツと産業提携を進め、未来の工場とスマート型サプライチェーンに必要なICTハードウエア、PCを基盤とした制御システム、オートメーション化周辺設備の供給体系を共同で確立していくことが可能と考えられる。
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