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【ワイズリサーチ】台湾輸送用機械産業の発展沿革と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年7月24日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾輸送用機械産業の発展沿革と展望

記事番号:T00062677

一.基本紹介

 輸送用機械産業は商品の運搬および輸送をする機器を製造しており、主要製品は▽コンベア▽クレーン▽スタッカー▽リフト▽未分類その他の輸送用機械・部品——などである。図1には2010年から現在までの台湾輸送用機械産業の製品別売上割合が示されている。



 コンベアは種類が多く、様々な分野で幅広く使用されている。台湾国内では製造業に従事する人数が減少傾向にあるため、人件費の削減および作業効率の向上を図って、企業はコンベアを購入しており、同製品の売上高は台湾輸送用機械産業の総売上高の2割以上をも占めている。ただ、11年からコンベアの売上割合が下落し始め、14年1〜4月には12.14%まで落ち込んだ。

 リフトにはエスカレーター、エレベーター、立体駐車場などの昇降機が含まれている。台湾政府による住宅市場の抑制策により、エスカレーターに対する需要は減少し、10〜11年におけるリフトの売上高割合は縮小したが、新しい住宅建設の完工に伴い、エスカレーターに対する需要は回復し、12年からは3割以上を維持している。

 未分類その他の輸送用機械・部品に関して、当業界の製品は、耐久性は高いもののメンテナンスを必要とするタイプであるため、未分類その他の輸送用機械・部品の需要が最も高い。なお、近年は新築の物件が増加してきていることでエレベーターのメンテナンス業務も伸びており、部品交換に対する需要も高まり、未分類その他の輸送用機械・部品の売上高割合は成長傾向が現れている。また、14年1〜4月に、その割合は総売上高の44.83%にも達した。

 

二、産業発展

 台湾汎用機械産業は主に輸出指向であるが、輸送用機械産業は市場規模が小さく、研究開発(R&D)費用が不足しているため、台湾メーカーは世界大手メーカーと連携協力している。従って、台湾輸送用機械メーカーは世界大手メーカーに制約され、その技術力は国際競争力に欠けている。ただ、2000年以来、当業界の輸出割合は成長傾向を示しており、途中で一度は金融危機に影響されて縮小したものの、現在は世界経済の好転に伴って再び成長している。なお、ECFA(両岸経済協力枠組協議)と米国政府による製造業の活性化政策の恩恵を受けて、台湾輸送用機械産業の対米国輸出額と対中国輸出額は顕著に伸びている。11年以来、当産業の輸出割合は拡大傾向を示しており、総売上高の27〜29%を横ばいで維持している(図2参照)。


 台湾輸送用機械産業は主に中小企業で構成されているため、各メーカーはR&D及び資金不足の不安を抱え、そして資源、技術、資金が限られている状況では、大型欧州・日本企業に太刀打ちできないとみられている。産業の高度化と事業規模の拡大に、台湾輸送用機械産業の命運が掛かっている。
 

三.市場分析

 台湾輸送用機械産業の国内市場に関して、建設機械と▽ビル▽住宅▽駐車場▽ディスカウントストア——に使用する昇降機のニーズがある建設・鉱山産業が主要取引相手であり、その割合は国内販売額の81.77%をも占めている。ほかの分野での販売割合は順に、▽製品が重く、大きい輸送用機械を必要とする重電機器産業、11.54%▽交通機関産業、4.65%▽石油化学産業、1.5%——である。

 国外市場に関して、中国は台湾輸送用機械産業の主要輸出相手国であり、おおよそ総輸出額の30%も占めている。また、二位以下の輸出相手国は順に、米国、タイ、韓国、日本であり、これらの国への輸出額は総輸出額のほぼ30%を占めている。なお、当産業の製品に課される輸入関税は、ほとんどゼロまで引き下げられているほか、両岸経済協力枠組協議のアーリーハーベスト・リストによって、▽その他昇降機及びダンプ式起重機▽その他ベルト式連続貨物昇降、輸送機▽チェーン式連続貨物運送の昇降機及び輸送機▽ローラー式連続貨物運送の昇降機及び輸送機▽その他名前を列記していない続貨物運送の昇降機及び輸送機▽その他昇降、運搬、積卸機械——6項目の対中国輸出製品はゼロ関税の適用対象になっている。
 

四.将来展望

 コンベアの世界市場規模はおおよそ700億台湾元であり、うちに鋼ワイヤーコンベヤーベルトへの需要はそのうち約15%の100億台湾元を占めているが、台湾輸送用機械産業はまだ高負荷用コンベア分野に参入していない。このため、経済部工業局が主導して、金属工業研究開発センターが実施する「産業園区廠商転型再造升級計画(工業地域メーカー革新工場計画)」によって、2013年に南コウ(山のしたに岡)工業区に機械部品産業クラスターが建設された。同計画により、世界七で台湾一のコンベアメーカーであるキン(金のした金がふたつ)永銓(シン・ヤング・チェン)を中心に、高価値輸送用機械のR&Dアライアンスが設立され、宏セン(艹のしたに全)工業(ハーング・チューアン)、鉅ロン(山のしたに侖)実業(チュー・ラン)、合正科技(ユニプラス)などもそのメンバーの一員である。

 ワイヤーコンベアーベルトと関連部品を除いて、同アライアンスもコンベアに関するカスタムサービスと差別化サービスを開発し、そして革新的で迅速なサービスプラットフォームを実現することで、顧客が実際に使用するパラメーターをカスタムサービスの統合を導入している。これにより、南コウ工業区および台湾中部地区にある20軒以上のメーカーがこれに加勢し、カスタムサービスと差別化サービスを通じて、台湾輸送用機械産業は正式に高負荷用コンベア分野に参入すると予想されている。

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