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【ワイズリサーチ】2014年Q2
台湾機械設備業界の産業分析および業界動向


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年8月28日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】2014年Q2
台湾機械設備業界の産業分析および業界動向

記事番号:T00062695

一.2014年第2四半期の業界概況

 世界経済の回復に伴い、台湾機械設備業界の景気も好転して、TSMC(台湾積体電路製造)を含む大手メーカーの設備関連支出も押し上げられている。ただ、中国と欧米経済は回復の兆しが現れているものの、台湾機械設備メーカーは主に一部の製品、もしくは標準機しか生産していないために中国および韓国企業による低価格戦略の競争に直面しており、これからはシステムの統合およびカスタムサービスの強化を通じて、産業を更に高度化させる必要がある。

 2014年第2四半期における台湾機械設備業界の生産額は、第1四半期16.1%増の2,319億台湾元であり、うちに▽工作機械▽電子デバイス・半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置▽産業機械▽搬送・自動化機器▽農業用機械▽建設用機械——の生産額も成長した。第3四半期に同業界の生産額は第2四半期比2%増の2,358億台湾元に伸びると予想され、そして2014年通年の生産額は13年比2.9%増の9,235億台湾元に成長すると推測されている。

二.製品別の販売状況

▽工作機械
 中国工作機械業界は過剰生産の恐れがあり、台湾工作機械業界の受注は不安定になっているが、2014年第2四半期の生産額は前期比20.2%増で、前年同期比9.3%増の396億台湾元に成長した。

▽電子デバイス・半導体・FPD製造装置
 国産機械を採用する半導体メーカーがますます増えているほか。高解像度テレビおよびスマートフォン用小型パネルに対する世界中の需要が高まっており、台湾機械設備業界には追い風となっている。従って、14年第2四半期における電子デバイス・半導体・FPD製造装置の生産額は、前期比23.85増で前年同期比7.5%増の310億台湾元に伸びた。

▽産業機械
 近年、中国の台頭は台湾産業機械業界の輸出に悪影響を与え、その生産額にも影響が及んでいるため、14年第2四半期に同業界の生産額は、僅か前年同期比4.5%増の439億台湾元にとどまった。

▽搬送・自動化機器
 14年第2四半期に、台湾搬送・自動化機器の生産額は前期比10.2%増で、13年同期比13.0%増の108.6億台湾元に膨らんだ。

▽伝動機器
 海外企業との激しい競争に直面し、14年第2四半期に台湾伝動機器の生産額は前年同期比27.0%減の74.4億台湾元に後退したが、シーズンの影響を考慮すれば、2014年通年における同業界の生産額は、13年比3.7%小幅ながら増加すると推測されている。

▽金型
 金属プレス加工およびプラスチック射出成形を用いて生産された金型はそれぞれ輸出額が前年同期比76%増、23%増となり、第2四半期に台湾金型業界の生産額は、前年同期比4.4%増の143億台湾元に伸びた。


三.業界の動向

1.年末の中韓FTA(自由貿易協定)による台湾機械設備業界に与える衝撃

 中国と韓国のFTAが締結されると約4分の1の台湾製品は影響を受けるとみられ、特に台湾製工作機械は韓国製工作機械の品質状況とターゲット顧客が被っているため、台湾工作機械業界が受ける衝撃は最も大きく、そして台湾機械設備業界全体にも一定以上の影響が及ぶことになると見られる。

 台湾メーカーは工作機械を製造するだけではなく、これからは工作機械の用途を広げるように、ロボットアームを含む自動化設備と統合させた方が、付加価値の向上と競争力の強化に繋がるだろう。

2.日本企業イノテックは台湾の思達科技を子会社化

 日本でIC(集積回路)の輸入販売を行う企業イノテックは、5月台湾の半導体検査装置メーカーである思達科技(スター・テクノロジー)を買収して、株式の移転を通して子会社化にすることを公表した。

 世界上位5社の半導体製造装置メーカーの2013年市場占有率が前年比5ポイント増の57%に伸びたことにより、製造装置市場は一部のメーカーによって寡占されていることが分かる。従って、この企業規模が大きい方が有利である現状において、主に中小企業である台湾電子デバイス・半導体・FPD製造装置業界は、革新的な戦略を行う。

3.研華科技、凌華科技、新漢三社は相次いでロボット市場へ進出

 14年7月に上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)と産業用パソコンの大手メーカーである研華科技(アドバンテック)は、これから両社は連携協力してロボット産業に進出し、そしてスマートファクトリオトーメーションのカスタマイズを通じて、顧客に自動系統統合サービスを提供する契約を結んだ。なお、凌華科技(アドリンク・テクノロジーズ)も7月にロボット産業への進出計画を公表して、新漢(ネクスコム)も2013年にファクトリオトーメーション産業に参入して、今年の営業収益は2億台湾元にも達すると推測されている。

 産業用パソコンメーカーがロボット産業への参入を果たしたのは、工業技術研究院からの技術支援も原因の一部と見られている。先進国と互角に渡り合えるように、スマートロボットの研究開発を志す台湾企業は、産業用パソコンとロボット部品に関する基盤も築く必要がある。

四.将来の展望

 米国の自動車販売市場が好況になっており、中国の自動車販売市場も顕著に回復して、自動車産業の好景気は工作機械業界にも好影響を与えているため、第3四半期に台湾工作機械は第2四半期に劣らず生産額を示すと見られている。また、航空宇宙産業と自動車産業の需要増は台湾工作機械業界に好影響を与えているが、これからは中国による低価格戦略と代替政策を留意する必要がある。

 スマート携帯装置の好況およびクラウドコンピューティングニーズの増加により、ロジックICとメモリデバイスに対する需要は第3四半期にも引続き成長して、半導体製造装置の生産額を押し上げると見られている。第3四半期における台湾半導体・FPD製造装置の生産額は、前期比8%増で前年同期比18.9%増の335億台湾元に伸びると見られ、そして2014年通年の生産額は13年10%増の1,193億台湾元に伸びると予想されている。

 なお、ファクトリオトーメーションニーズに対する世界製造業界の需要が高まっており、そしてエンドユーザーのニーズはトータルソリューションのカスタムサービスであり、価格競争を避けて商機を掴むには、台湾企業はインテリジェント化を発展させる必要がある。もし顧客のニーズを把握できず、ただ量産と標準機を運営へ重心を移した場合、今後の発展は限られる恐れがある。

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