ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00062704

一．景気の現状

　2014年７月、台湾製造業界の生産指数と輸出状況は良い実績を維持していたが、国外からの注文が先月より小幅下落したため、景気指数は僅か0.01から12.51の上昇となった。また、14年８月の同業界の購買担当者指数（ＰＭＩ）は55.4％と拡大が続いたが、その伸び幅は３月以降の最小数値であり、指数も７月と比べて3.1ポイントと減少した。また、８月における台湾製造業界の拡散指数は下記の通りである。

１．新規受注の拡散指数は55.3％
　製造業界全体の受注量は引き続き拡大しているが、その伸び幅は顕著に縮小しているため、拡散指数は前月比7.0ポイント減の55.3％と下落した。

２．生産の拡散指数は56.0％
　生産の拡散指数は５ヶ月連続50％以上の拡大が続いたが、８月に前月比6.2ポイント減の56.0％と落下した。

３．雇用の拡散指数は54.7％
　雇用の拡散指数は既に21ヶ月連続50％以上を維持していたが、８月に前月比4.5ポイント減の54.75に留まった。

４．納期の拡散指数は55.8％
　納期の拡散指数は12か月連続50％以上を維持しており、８月に前月比1.6ポイント増の55.8％に膨らんだ。

５．在庫の拡散指数は55.3％
　在庫の拡散指数は８か月連続50％以上を維持しており、８月に55.3％を記録した。

二．台湾機械設備業界の現況

　世界経済の好転により、企業の投資意欲が上昇しているほか、自動車・二輪車の部品とモジュールに対する中国と欧州の需要増加も、台湾工作機械の輸出を押し上げているため、台湾機械設備業界の景気は上昇している。

　更に詳しく説明すると、４〜５月に台湾機械設備業界における５分野の景気は前年同期と比べて下落し、衰退が２桁超えた分野は、順に▽公害防止機器、25.71％減▽鉱業・建設機械、21.63％減▽未分類その他の専用機械、11.83％減——である。事務機器とプラスチック加工機械もそれぞれ７％減と4.79％減の後退を示した。

　それに対し、同業界でも10の分野において景気は好転し、成長が２桁を超えた分野は、順に▽食品・飲料・タバコ製造機械、26.63％増▽搬送機器、25.77％増▽化学機械、24.54％▽動力工具、18.16％増▽農業・林業用機械、16.77％増▽伝動機器、14.17％増▽木工機械、10.16％増——である。

　上記のデータから、米国および台湾機械設備業界の景気が回復していることが分かる。なお、第２四半期に台湾の単位労働コスト指数は前年同期より減少し、労働生産性が前年同期より増加したことは、世界的景気好転により、台湾機械設備業界の生産力が上昇し、コストが縮小したことを示している。

　販売実績に関して、14年３〜５月に台湾機械設備業界の売上指数は、前年同期比8.65％増の90.42に伸び、メンテナンス市場の売上高指数も、同13.79％増の90.06に成長したほか、輸出受注も前年同期に比べて12.5％増に膨らんだ。

三．14年第３四半期の景気予想

　７月には出荷遅延が発生したことで、輸出が下落したため、14年第３四半期における台湾機械設備業界の伸び幅に影響を及ぼす恐れがある。しかし、世界景気が勢い強く回復しており、第２四半期における中国と米国のＧＤＰ（国内総生産）も予想を上回ったため、今後経済回復の進展は更に加速し、製造業界の資本的支出を引き上げる可能性があり、ＴＳＭＣによる投資の拡大も一例である。そのほかに、ロボットアームとロボットに対する世界需要も膨らんでいるため、14年第３四半期に、台湾機械設備業界の生産指数は7.17％増の92.06に上昇すると見られている。

　メンテナンス市場に関して、欧米と中国などの市場回復は、世界景気の好転にも繋がっており、北米はすでにタイヤ空気圧検出器（ＴＰＭＳ）の更新時期を迎えているため、オーフシーズンにも関わらず、７月のアフターマーケットのメーカーは収益が増加しているため、早めに生産力を強化した。なお、14年下半期の航空宇宙業界の受注は好調であり、それに加え、高雄ガス爆発事件によって、メンテナンス需要がさらに増加しているため、14年第３四半期における台湾機械設備メンテナンス業界の生産指数は、前年同期比14.21％増の106.61に伸びると予想されている。