(一般公開)2014年Q3 
台湾ファスナー産業の現状と展望


2014年11月20日0:00  リサーチ 経営 台湾事情

(一般公開)2014年Q3 
台湾ファスナー産業の現状と展望

記事番号:T00062745

一.業界の概況

 台湾製造業において、ファスナー産業(締め具・留め具)は一定程度の実績があり、2008年の金融危機を乗り越えてから、現存のファスナーメーカーは全て実力と技術が備わっている企業である。世界中において、台湾は5本の指に入るファスナーの提供国であり、製品は150カ国以上に輸出されている台湾ファスナー産業は、輸出指向の産業だと見られている。なお、2013年における同業界の生産額は1,239億台湾元であり、その中で輸出額は93%程を占める1,152億台湾元である。

 2014年第3四半期、台湾ファスナー産業の輸出額は前期比8%増の357億台湾元に伸び、2四半期連続の成長から見ると、同業界の景気と受注量が徐々に回復していることが分かる。また、14年Q3における同業界の主要輸出先国とその割合は、順に▽米国、37%▽ドイツ、9%▽オランダ、5%▽日本、5%▽英国、4%——であり、そして主要輸入元国とその割合は、順に▽日本、50%▽米国、11%▽中国、8%▽ドイツ、7%▽韓国、3%——である。

 ねじ・ナット産業を例とすると、台湾ねじ・ナット業界も輸出指向の産業であり、輸出額は売上高の8割ほどを占めている。14年1〜8月における台湾ねじ・ナット業界の生産量は、前年同期比7.8%増の93万トンに伸び、生産額も同8.6%増の610億台湾元に膨らみ、14年における同業界の通年生産額は、2012年からの記録を更新して、200億台湾元まで上昇すると見られている。



二.業界の動向

1.中国鋼鉄(CSC)の新技術は川下産業に有利
 過去、中国鋼鉄の鋼線材の球状化技術は時間とエネルギーの消耗は激しく、製品の品質にも悪影響を与えるため、納期遅延と在庫管理問題の原因になっている。現在、同社は低温制御のストリップミル圧延を通じて、鋼線材の球状化技術を向上させたため、相当な利益がもたらされるほか、川下産業も好影響を与え、工場の歩留まり率の向上に繋がっている。そのため、台湾ファスナー産業はより順調に加工が可能になるほか、金型の寿命が延び、不良率が低減され、産業の高度化に有利に働く。

2.自動車販売市場の好調はファスナーメーカーの業績上昇に繋がる
 電気自動車の先導企業であるテスラの財務諸表により、14年Q3に同社の売上高は前期比10.7%増、前年同期比97.5%増の8.52億米ドルに成長し、同社の14年生産量は35,000台に達し、出荷量も13年比50%増の33,000台に膨らむと予測されている。

 台湾ファスナー産業のメーカーである世徳工業(SUMEEKO)はテスラのティア2(2次請け)サプライヤーであり、主に車体とシャシー関連ファスナーを提供している。従って、テスラの好調に伴い、14年に対テスラ取引額は同社の全体業績の8%以上、2015年には10%以上に上昇すると推測されている。また、▽トヨタ▽ゼネラルモーターズ▽クライスラー——なども世徳工業の主要取引先であり、同社は12〜13年にゼネラルモーターから優秀サプライヤーを受賞したこともある。

 日本車メーカーに関して、世徳工業はすでに12年にホンダと日産のティア2サプライヤーとなっており、14年から量産も始まっている。近年の自動車販売市場の好調の恩恵を受け、▽ネラルモーターズ▽クライスラー▽トヨタ▽日産▽ホンダ▽スズキ——からの発注も急増し、同社は生産能力の拡大を図り、14年年始から工場のレンタルを開始している。

三.産業分析と未来予想

 台湾ファスナー産業の輸出量は、2003年に世界の工場と言われる中国に超えられてから、世界2位を維持していたが、危機感と中国との競争関係から、品質、管理、マーケティグ、サービスにおける同業界の実力は向上し、輸出量も10年連続成長し、国際競争力があることを証明した。

 台湾ファスナー産業の主要輸出先国は米国であり、米国の経済回復により、自動車販売市場は15〜20%増の成長が見込まれているほか、欧州自動車メーカーも自動車用ファスナーの海外生産権利を開放したため、自動車用ファスナーを主要業務とする同業界のネジメーカーは、かなりいい実績を上げた。

 14年第1四半期〜第3四半期において、前年同期より二桁の成長率を見せた台湾ネジメーカーは数多くあり、14年通年におけるこれらのメーカーの売上高も、13年より伸びると予想されている。なお、14年Q3、台湾ファスナー産業の輸出額は前年同期比11%増の332億台湾元に膨らみ、14年通年の輸出額は13年比4%増の1,198億台湾元、生産額も1,288億台湾元に成長すると推測されている。

 15年、▽新興国の輸出増加▽EU(欧州連合)の経済好転▽欧州の緩和金融政策の持続——により、世界経済は更に回復すると見られているが、韓米FTA(自由貿易協定)の締結により、77%の製品が自動車用ファスナーである韓国ファスナー産業の対米国輸出はさらに成長すると予想され、台湾ファスナー産業に悪影響を与える恐れがある。

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