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【ワイズリサーチ】2015年における台湾工作機械業界の
景気予想と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年1月8日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】2015年における台湾工作機械業界の
景気予想と展望

記事番号:T00062770

一.業界の概況

 2014年は先進諸国の景気回復が中国と新興国市場の輸出を促進した。また各企業も生産を拡大したことから、台湾の工作機械業界の輸出と売上高はともに成長した。14年第1四半期~第3四半期、同業界の輸出総額は前年同期比6.2%増となり、工作機械メーカー大手各社の売上高合計も同18.7%増と伸び、台湾の工作機械業界はすでに13年の景気低迷から抜け出したといえる。

 欧米市場では景気上昇が続いており、東南アジア市場でも経済成長が回復し自動車工業の需要が安定している。15年はこれらの国からの台湾工作機械業界に対する需要が14年を上回ると見られている。一方で、中国における産業構造の調整、欧州の高い失業率とデフレ問題、ロシアやタイの政治問題などが台湾の工作機械業界の輸出に悪影響を与える恐れがある。上記の要素を考慮して、15年における同業界の生産額は2.6~3.9%増と予想される。


二.産業分析

 2013年は欧米市場の経済不振と円安、さらに中国の産業構造の調整による悪影響を受けて台湾工作機械業界の生産額は1,413億台湾元の前年比10.9%減と大幅に減少した。14年は欧米市場の景気回復と各国企業からの受注増加が追い風となって、14年第1四半期~第3四半期の生産額は前年同期比6.6%増、14年通年では1,480億台湾元で前年比4.7%増となる見通しだ。

 総合的に言えば、米国が世界経済の好転を牽引し、欧州と中国の景気も安定して回復していることが、台湾工作機械業界の輸出受注拡大にとって助けとなるだろう。

▽中国の産業状況
 中国は台湾工作機械業界の最大輸出先である。14年、中国政府は経済改革策においてパネルや半導体といった電子部品の国内サプライチェーン構築などを重点項目とした。中国市場における製造業購買担当者指数(PMI)は2年連続で上昇している。しかし14年第2四半期以降、内需は弱まりを見せている。

▽米国の産業状況
 台湾工作機械業界にとって第二の輸出相手国である米国は、量的金融緩和(QE)の終了時期が不確定であったことから13年の経済成長率は1.9%にとどまった。しかし14年は経済回復は予想を上回り、「製造業の国内回帰」政策の下、8月には米国の製造業PMIは金融危機以来の最大値である59.0に達した。

▽欧州の産業状況
 債務危機以来、欧州諸国の多くは低迷する経済成長率と高い失業率といった問題に直面していた。しかし2013年、各国に先んじて英国とドイツが低迷から脱却、13年第3四半期には欧州連合(EU)全体の経済成長も回復を見せはじめ、その伸びが14年も続いた。欧州の製造業PMIからは、現在欧州地区は景気拡張が続いている状態であることが分かる。しかしその勢いは今後緩やかになるだろう。

三.2013年~2014年における業界の運営状況

 2013年、台湾工作機械業界は対中国輸出の大幅減少のほか、欧米市場の経済低迷、またトルコ、インド、タイ、インドネシア、マレーシアといった新興国からの受注減少の影響を受けた。台湾工作機械業界の輸出額は12年10月から16ヶ月連続のマイナス成長が続いており、13年通年の輸出額は前年比16.2%減少した。

 しかしこの状況は14年には改善され、14年第1四半期~第3四半期の同業界の総輸出額は前年同期比6.2%増へと成長した。主要輸出先と前年同期比成長率は、成長率が高い順に▽ベトナム、27.0%増▽トルコ、19.3%増▽日本、11.2%増▽ドイツ、7.9%増▽中国、7.0%増▽米国、4.0%増——となった。一方、タイとインドネシアは国内問題により同業界に対する需要はいまだ弱いままである。

 14年における台湾工作機械業界の大手各社の売上高はいずれも高い成長率を維持した。14年第1四半期~第3四半期の各社売上高の前年同期比成長率は、成長率が高い順に▽亜イ機電(イは山のしたに威、AWEA)、29.5%増▽程泰機械(グッドウェイ)、29.5%増▽東台精機、22.7%増▽喬福機械工業(ラウンドトップ・マシナリー)、18.9%増▽瀧澤科技、17.6%増▽福裕事業(ファルコン・マシン・ツールズ)——であった。工作機械メーカー大手各社の売上高合計も同18.7%増となった。大型工作機械業者はすでに15年1月~2月分まで受注予測がついている状況だ。


四.2015年の景気予想と展望

 台湾市場では欧米の経済回復、中国経済の安定、外需拡大の影響で個人消費が活発になっている。そのため2014年の台湾経済は予想より好調で、輸出、個人消費、資本形成などいずれも大きく成長した。また世界経済が好転する中、輸出入が増加しているため15年の台湾の経済成長率は前年比0.1ポイント増の3.51%となる予測である。

 15年の台湾工作機械業界に対する各国の需要を予測してみると、まず欧米市場の経済好転、東南アジア市場の経済成長が回復する見込みであることから、これらの国からの需要は14年を上回る見通しである。また、中国では産業構造の調整、欧州では財政赤字およびデフレリスクの恐れがあるため、これらの国からの需要は14年から横ばいを維持すると見られている。一方、ロシア、タイ、インドネシアなどでは政治問題による悪影響があるため、需要は14年を下回るだろう。上記の事情を考慮して、15年における台湾工作機械業界の生産額は2.9~3.9%増と予想されている。

 15年、台湾工作機械業界が直面する課題とチャンスとしては、▽中国における工作機械業界の産業構造の調整▽日本政府の円安政策▽工作機械に対する東南アジア諸国の需要——の3つが挙げられる。これらの問題に対して、台湾工作機械業界はターンキーソリューションを提供するべきだろう。単に工作機械そのものを生産するだけでなく、大量生産に必要なロボットアームなどの自動化設備、マシンツーマシン(M2M)技術の開発を通じて製品の付加価値を高める必要がある。

 また、長期的には中国市場の需要変化に対応する戦略を確立させなければならない。加工精度を0.001mm以下まで強化させるほか、横形マシニングセンタ、5軸マシニングセンタ、旋盤・フライス盤複合機、横中ぐりフライス盤、精密箔押機といったハイエンドの工作機械を開発して中国との技術力の差をつけることで、中国市場における台湾工作機械業界の競争力を維持する必要がある。

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