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【ワイズリサーチ】台湾自動車販売業の現状と2015年の景気動向


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年8月27日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】台湾自動車販売業の現状と2015年の景気動向

記事番号:T00062900

一.輸入車販売増加の影響

 台湾における自動車販売店の数は2014年末現在で5,159店となり、13年末に比べ127店増加した。増加の主な要因は中古車販売業者が店舗展開を拡大したことによる。14年末現在の中古車販売店の数は1,707店と、前年同期比12.08%の増加を記録。この他、自動車の卸売業者の数も同期間で2.86%の増加を見せた。

 一方で新車販売店の数は減少傾向にある。また、14年は輸入車の販売が増加したことで台湾生産の大型セダン販売が低迷すると同時に、一部の輸入車メーカーが代理権を回収し、直営に切り替え、従来の代理販売業者が店舗の縮小を迫られた。このため14年末現在の新車販売店舗数は2,302店と13年末に比べ3.72%減少した。

 国内での自動車販売台数が継続して増加している他、2014年には10年周期の自動車買い替え需要のピークを迎え、さらに消費者の両極化傾向が進む中、輸入車の販売が急速に成長。市場全体に占める輸入車のシェアは30%以上に拡大した。
 こういった状況の中、輸入車メーカーの台湾市場に対する関心が高まっており、代理権の回収および直営への切り替えの動きにつながっている。ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)は台湾に子会社を設立するとともに、▽VW▽VW商用車ブランド(VWN)▽シュコダ▽アウディ――の傘下4大ブランド車の代理権を回収し、直営に切り替えた。またマツダも台湾子会社を設立して直営に乗り出した。ただ従来VW傘下ブランドの代理販売を手がけていた台湾の自動車販売大手、太古汽車グループは代理権は失ったものの、引き続きVW、VWN、シュコダの取次業者としての地位に留まった他、イタリア・フィアットグループ傘下のフィアット、アルファロメオやジープといった新たなブランドの代理権を獲得。さらに高雄エリアにおけるメルセデス・ベンツ、起亜の販売業務も開始した。

 この他、マレーシアの複合企業、サイム・ダービーは台湾の自動車市場を好感して、台湾子会社を設立。韓国・起亜自動車の台湾での販売代理権を獲得した(表1参照)。

二.業界各社の業績概況
 三菱自動車が提携する中華汽車工業の販売店、匯豊汽車、トヨタの台湾総代理、和泰汽車の販売店、国都汽車、中部汽車、桃苗汽車、高都汽車、南都汽車といった業者は2014年、新車市場における購買欲向上に加え、新型車の相次ぐ発売、優待プランの提供により買い替え需要の喚起に成功し、主な自動車販売業者の2014年連結売上高はいずれも成長を記録した(表2参照)。

 特にトヨタ系列の販売業者は比較的業績が好調で、台湾において同ブランド車は継続してシェアを拡大している。また円安を背景とする日本車の値下げが購買意欲向上につながっており、和泰汽車、中部汽車、南都汽車の2014年連結売上高はそれぞれ前年比9.28%増の1,602億1,400万台湾元、同11.11%増の243億6,700万台湾元、同11.33%増の152億4,800万台湾元をとなった。国都汽車、桃苗汽車、高都汽車も同8.34%、同7.69%、同6.40%の成長を見せた。一方、裕隆日産汽車も同5.36%増を記録したが、匯豊汽車は同0.14%の成長にとどまった。

 利益面では、トヨタ系列の販売業者は売上増に加え、メーカーが販促キャンペーンを打ち出したことで入荷コストが抑制されて粗利益率が向上。国都汽車、中部汽車、桃苗汽車、高都汽車、南都汽車の2014年1〜6月純利益はいずれも前年同期比で大幅な成長を記録した。また和泰汽車も同年1〜9月の純利益は同23.80%増となった。一方、匯豊汽車は連結売上高の成長率が小幅にとどまったことから粗利益率にも大きな変化はなく、14年1〜6月の純利益は前年同期比0.48%増となった。また裕隆日産汽車の14年1〜9月純利益は、同期の粗利益率が顕著な低下を見せたことから同22.20%の大幅なマイナス成長に転落した。

 2015年1〜2月の台湾自動車市場は依然、旺盛な需要を維持しており、主な自動車販売業者の連結売上高は前年同期比プラス成長を維持している。特に裕隆日産汽車および国都汽車は同20%以上、和泰汽車、中部汽車、高都汽車も同10%以上の増収を記録した。

 

三.今後の見通し
 台湾の主要研究機関の予測によると、台湾経済は2015年も成長が見込まれ、かつ成長率は前年を上回る見通しとなっている。国民の消費意欲も上向き、個人消費額は前年比3%以上成長するとの予測だ。なお最近、上場・店頭公開企業の多くが昇給の実施意向を示している。このほか、米エネルギー情報局(EIA)は、今年のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油相場を1バレル当たり平均52.15米ドル、北海ブレントを同59.50米ドルと予測しており、原油価格が低水準を維持する見通しで、台湾自動車市場における購買意欲を引き続きけん引すると見込まれる。

 全体的に見て、台湾経済の景気安定、原油価格の下落、自動車乗り換え需要、企業の昇給といった要素が今年の国内自動車販売台数を押し上げると予想される。「情報贏家」(時報資訊)の統計によると、台湾における2015年1〜2月の自動車登録台数は7万1,600台で前年同期比12.11%の増加を見せた。うち、台湾生産車は同7.00%増の4万7,000台、輸入車は同23.33%増の2万4,600台となった。さらに今年は中古車販売も好調が期待でき、台湾自動車販売業の2015年販売額はプラス成長が見込まれる。ただ昨年の数値が高かったため成長率は前年比で縮小すると予想される(表3参照)。

機械業界-自動車・二輪車

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