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【ワイズリサーチ】台湾自動車・バイク産業の現状と見通し


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年9月24日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】台湾自動車・バイク産業の現状と見通し

記事番号:T00062916

カテゴリー別Q2概況と今後の展望

1.自動車完成車両産業
 自動車市場において例年の需要期に当たる2015年第2四半期、5月が確定申告シーズンに当たること、および同期の輸出が前年同期比30.6%のマイナス成長となった影響を受けたものの、4月に自動車メーカー間の販売競争が前倒しでスタートしたことから通期の生産額は前期比14.1%増の610億2,000万台湾元に上った。ただ、トヨタ・ヴィオス、日産・リヴィナ、ホンダ・シティなど平価なモデルチェンジ車種の売れ行きが好調だった前年同期比では1.8%減と小幅なマイナス成長となった。

 台湾では例年、第3四半期は自動車市場の非需要期に当たるが、今年は大きな買い物に縁起が悪いとされる「鬼月」(旧暦7月、今年は8月14日~9月12日)に入るまでに約3週間の猶予があったことや、7月に台北車展(台北オートショー)が開催されたことから販売には比較的有利な状況にあった。しかし、第3四半期の生産額は503億9,000万台湾元で前期比17.4%減、トヨタの新型「ヤリス(日本名ヴィッツ)」発売によって販売量が押し上げられた昨年同期比でも4.2%減と予測されている。

 2015年はトヨタの世界的な生産能力の調整を受けて、台湾の輸出にも影響が及んでいるが、原油価格の低止まりおよび自動車メーカー間の販売競争のスタートが前倒しされたことが市場の活性化につながっている。全体的に見て2015年の台湾完成車両産業は「楽観しつつ慎重に見守る」べき状況と言え、生産額は前年比2.4%増の2,249億3,000万台湾元と予測される。

2.自動車部品産業

 2015年第2四半期は原油価格の低止まりが続いたこと、および北米各国の経済が安定したことで自動車市場が活況となり、例年、同期は非需要期に当たるものの、北米市場向け自動車部品(ゴム・プラスチック部品、サスペンション、ラジエーター・冷却水箱、ホイール、ブレーキなどの加工部品)輸出はプラス成長を記録した。ただ、欧州連合(EU)における西欧国家の経済危機への対応など不確定要素が残るEU向け、および東南アジア諸国連合(ASEAN)向け輸出はマイナス成長となったことが同期の自動車部品輸出全体に影響を及ぼし、同産業の第2四半期生産額は534億7,000万台湾元で前期比2.4%減を記録した。一方、前年同期比では1.1%の小幅成長となった。

 北半球各国で自動車部品の需要期を迎える第3四半期は、引き続き原油価格の変動が注目を集めているなか、同製品の主要市場、北米、欧州連合(EU)、中国、日本市場のうち、北米市場を除き、消費がやや落ち込みを見せている。一方でメキシコなど中南米市場および東南アジア諸国連合(ASEAN)向け輸出は若干の成長を見せており、台湾自動車部品産業の第3四半期生産額は前期比ほぼ横ばいの531億1,000台湾元と予測される。

 西欧諸国の経済危機とギリシャ問題についての不透明な見通しが自動車部品メーカーの受注に影響を及ぼしている上、国際原油価格の低止まりによるプラスチック原料など関連産業へのマイナス要因が響き、自動車部品の生産額に大幅な成長は期待できない。このため台湾自動車部品産業の2015年生産額は2,175億2,000万台湾元で前年比1.9%の成長にとどまる見通しだ。

【業界の注目企業】巧新科技工業
 低燃費および二酸化炭素(CO2)排出に関する関心が高まる中、あらゆる自動車メーカーにとって車両の軽量化やEVの開発が重要な課題となっている。このうち燃費に重要な関わりを持つ軽量化については、重量を約40%抑えられ、かつ強度を高めること安全性の向上も期待できるアルミ合金の採用が欧米、日本などの先進国でトレンドとなっており、ランドローバーの「レンジローバー」、テスラの「モデルS」などでは同素材が全面的に使用されている。またBMWやメルセデス・ベンツ、ジャガーなども部品の軽量化に向け、徐々にアルミ合金の使用量を増やしている。

 こういった中、自動車用鍛造アルミ合金製ホイール世界2位で、ベンツ、AMG、BMW、ポルシェな29の自動車ブランドを顧客に持つ1次請け部品メーカー、巧新科技工業(スーパーアロイ・インダストリアル、SAI)は優れた鍛造技術を生かして自動車向けOEM(相手先ブランドによる生産)事業に注力している他、航空・宇宙産業向け部品市場の開拓も進めている。

3.バイク産業
 15年第2四半期の台湾バイク市場は新車の発売、および気温の上昇が需要を押し上げ、バイク産業の同期生産額は114億6,000と前期比5.2%増を記録した。一方、夏休みシーズンを迎える第3四半期は、18歳以上の学生層によるバイク購入が大幅に増え、かつ各メーカーが新車種を相次いで投入するため、バイク完成車両産業の同期生産額は133億2,000万台湾元まで増加すると見込まれる。

4.電動輸送機器産業
 このところ原油価格が従来に比べ下落しているため、市場では高単価なハイブリッド車に対する購買意欲が低下。電気自動車(EV)の生産量も大幅に減少している。電動バイク生産量は依然、成長を維持しているものの、電動輸送機器産業全体の生産額においてはEVの占める比率が高いため、同産業の15年第2四半期生産額は9億3,000万台湾元で前期比11.7%減少した。
 ガソリン価格が比較的低水準で推移する中、第3四半期も自動車市場の需要は依然、ガソリン車が中心となり、ハイブリッドおよびEVの需要は低下が続く見通し。電動バイクの販売は成長を持続するものの、電動輸送機器産業全体の生産額は同期、8億5,000万台湾元で前期比8.2%減少すると予測される。

 電動輸送機器の購買意欲はガソリン価格の上昇と燃費効率の低いエンジンを背景としているが、原油価格が下落し、ガソリン車の燃費効率が向上する現状の中、今年、台湾で生産されるEVの数量は大幅に減少し、電動輸送機器の2015通年の生産額は36億3,000万台湾元と前年比36.1%減と大幅なマイナス成長に陥ると見込まれる。

【業界の注目企業】Gogoro台湾
 睿能創意(Gogoro台湾)は6月27日に台湾で電動バイク、「スマートスクーター」の予約を受け付けを、7月25日に納車を開始した。販売価格は12万8,000台湾元で、カラーはグレーとホワイトの2色。予約優待プランとして、▽頭金3万8,000台湾元の無利息12回分割払い▽2年間のバッテリー無料交換サービス(原価は月899台湾元)▽2年間の無料メンテナンスサービス(材料費・工費含む)▽2年間のロードサービス▽1年間の盗難保険――が提供される。
 台湾市場では電動バイクが注目を集め、既存バイクメーカーや新興メーカーの同分野への参入が相次いでおり、Gogoroもその一例となっている。高い販売価格とバッテリー交換という斬新なビジネスモデルが現時点で市場に受け入れられるかどうかは未知数で、その成否を判断するには時間をかけて観察する必要がありそうだ。

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