ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00062908

一、産業の現状

内需・外需はそろって拡大、上半期は緩やかな成長を維持
　近年、本産業はメーカー各社が台湾市場に重心を置き始めたため、部分的な輸入需要が増加している。また、製造業が2014年第４四半期に15年の世界経済を楽観したことから、台湾工作機械と専用機械に対する受注も増加した。なお、この受注は15年第１四半期から出荷開始しており、本産業の内需拡大に繋がっている。このほか中国機械設備産業における産業革新の実施により関連キーコンポーネントの輸入需要が拡大していること、米国設備産業の景気回復が続いていることなども、本産業の輸出業績を押し上げた。このため、15年第１四半期における本産業の生産額は99億9,900万台湾元（前年同期比19.24％増）、生産額は94億7,700万台湾元（同18.03％増）となった（表１参照）。



　しかしながら2015年の世界経済の実績は予想を下回っており、台湾機械業の受注量は明らかに下落している。これが第２四半期の出荷業績に影響を与え、本産業の内需も縮小することとなった。幸い、中国と米国からの需要は成長を維持しているため、15年４〜５月における本産業の販売額は63億7,300万台湾元で前年同期比5.20％増となった。従って、第２四半期の販売額成長率は前年同期比でプラスを維持するが、その成長幅は緩やかになる見通しだ。

本産業販売額はボールねじを筆頭に成長を維持
　2015年第１四半期、本産業の各製品の販売額は前年同期比で成長を維持している。台湾リニアガイドの主要メーカーは積極的に研究開発に注力し、世界市場における競争力を維持してきた。世界需要の回復に伴い、15年第１四半期におけるリニアガイドの販売額は39億800万台湾元で前年同期比16.75％増、ボールねじはさらにそれを上回る同52.13％増の成長を見せた。これは工業用ロボットに対する需要が大幅に増加したためである。また、ベアリングも川下産業からの需要回復により販売額は25億4,200万台湾元で同7.08％増となった。ギアの販売額は前年同期比で成長を維持したものの、台湾ギア産業の競争力は比較的弱いため成長幅は他の製品を下回り、販売額は10億6,700万台湾元（同4.66％増）の小幅成長にとどまった（表２参照）。



　第２四半期は、川下機械産業からの需要が大きく減少したことによりベアリングおよびギア製造メーカーは直接影響を受け、販売額は衰退すると予測されている。一方、リニアガイドはハイエンド機械設備に対する需要が成長、ボールねじは工業用ロボットに対する需要拡大により、第２四半期におけるそれぞれの販売額は前年同期比で成長を維持するが、成長幅は緩やかになる見通しだ。

アジア市場は成長続くが、欧州市場は衰退

　中国機械設備業が産業調整を行うことにより関連キーコンボーネントに対する需要が拡大、また工業用ロボットブームにより本産業に対する需要が増加したため、2015年第２四半期における本産業の輸出額は120億1,700万台湾元で前年同期比6.99％増となった。しかし前期比では19.92％減で、成長の勢いは明らかに弱まっている。主要な原因はギリシャ問題が欧州経済に衝撃を与えたこと、さらにユーロの大幅下落が挙げられる。このため本産業の欧州地区に対する輸出額は16億7,100万台湾元で同10.57％減となった。一方、中国からの需要が大幅に成長し、本産業のアジア地区に対する輸出額は78億3,400万台湾元で同13.89％増となった（表３参照）。


内需減少の影響を受けて、輸入額の前年同期比は衰退


　2015年第２四半期は台湾内需が縮小し、特に４月〜５月の工作機械販売額は前年同期比11.55％減となった。これにより本産業のハイエンド製品に対する輸入需要は減少し、15年第２四半期における輸入額は63億6,900万台湾元、同8.60％減となった。このうちドイツと米国からの輸入額は前年同期比でそれぞれ20.70％減と14.03％減となった。主要な原因は、近年本産業の海外メーカーは中国での生産拠点の設置を進めており、台湾企業は輸送コストを考慮し、中国工場からの調達規模を拡大させているためだ。これにより、中国からの輸入額は同0.72％減の小幅減少にとどまっている。また、日本とイタリアからの輸入額は前年同期比でそれぞれ7.79％減と8.19％減となった（表４参照）。