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【ワイズリサーチ】化学工業機械設備製造業界の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年10月1日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】化学工業機械設備製造業界の現状と展望

記事番号:T00062920

一、業界の現状

台湾の投資環境の悪化と石油価格下落の影響から、2015年1月~5月の石油化学産業の売上高は前年同期比7.80%減

 高雄で発生したガス爆発事故の後、台湾石油化学産業の投資環境は悪化している。台塑集団(台湾プラスチックグループ)は台湾における産業環境と世界市場の変化に合わせて、今後3年間の重点投資を米国、中国、ベトナムの海外3カ国に集中し、海外投資比重をこれまでの25%から80%へ大幅に引き上げることを明らかにした。さらに2015年における台湾経済の成長率は予測に届かず、加えて石油価格が下落しているため、石油化学業者の投資意欲は弱まっている。経済部統計処の発表によると、15年第1四半期の「石油・石炭製造業」と「化学製品製造業」の機械設備に対する支出金額はそれぞれ38億5,900万台湾元(前年比3.18%増)、18億1,700万台湾元(同9.50%増)であった。一方、「化学材料製造業」は130億2,900万台湾元で同43.27%減となった。このように2015年1月~5月における化学工業機械設備製造業の売上高は内需縮小の影響を受けて、69億9,300万台湾元で前年同期比7.80%減となった(図1参照)。

 
税関資料によると、2015年6月の本産業の輸入額は大幅に減少している。これは本産業の内需が著しく縮小しており、台湾市場での販売に打撃を与えていることを示している。15年上半期における本産業の売上高成長率も前年同期比で大きく落ち込むと予測される。

2015年上半期、本産業の輸入額は大幅減、輸出額も中国の調達減により成長率はやや衰退

 2015年、台湾の石油化学産業全体の設備投資は縮小したが、「石油・石炭製品製造業」の設備支出額は増加している。化学工業機械設備製造業は輸入に頼っており、15年1月~5月の輸入額は前年同期比2.12%の小幅成長となった。15年6月は第4原子力発電所(新北市貢寮区)の建設凍結決定を受けて、原子炉に用いられる未照射燃料(カートリッジ式)の輸入額が大幅減少したため、15年1月~6月の輸入額は60億8,100万台湾元で前年同期比31.13%減となった。輸出については、同産業の主要輸出相手国は中国と米国である。経済部投資審議委員会(投審会)によると、15年1月~6月に政府が認可した「化学材料製造業」の中国投資金額は6,800万米ドルで前年同期比88.70%減少した。「化学製品産業」も同8.64%減、「石油・石炭製品製造業」の中国投資額はゼロであった。このため15年以降、中国の同産業に対する調達金額も著しく減少している。幸い、台湾業者の米国投資は増加しており、15年1月~5月における輸出額は前年同期比0.67%増加した。しかし、15年6月には米国からの調達規模が縮小したため、15年1月~6月の輸出額は46億3,900万台湾元で同1.44%減となった(表1参照)。

これは11年以降、初めての減少傾向だ。

2015年上半期、主要輸入相手国の日本・中国以外も各国からの輸入額はそろって大幅減

 2015年上半期、化学工業機械設備製造業の輸入相手国上位5カ国は米国、日本、中国、ドイツ、韓国で、これらの国への輸入合計が全体の90.31%を占めた。建設凍結が決定した第4原発の主要設備は米国から調達していたため、15年1月~6月の対米国輸入額は29億4,800万台湾元で前年同期比46.57%減少した。このほかの国からの輸入額は、▽日本、9億7,200万台湾元(前年同期比17.73%増)▽ドイツ、4億9,600万台湾元(同19.85%減)▽韓国、1億4,100万台湾元(同28.26%減)――だった。円安の影響で日本からの調達が増加した。また対中国輸入額も同3.43%増となった(表2参照)。



2015年上半期、主要輸出相手国の米国、日本、ベトナムへの輸出額は増加。中国、インドネシアは減少
 2015年1月~6月における台湾化学工業機械設備製造業の輸出相手国上位5国は、米国、中国、日本、ベトナム、インドネシアで、これらの国への輸出合計が全体の58.75%を占めた。台湾メーカーによる米国投資の増加、米国経済の成長が輸出を後押しし、15年1月~6月における同産業の対米国輸出額は10億200万台湾元で前年同期比22.74%増となった。対日本は同2.50%増、対ベトナムは5.46%増だった。一方、対中国は台湾石油化学各社の中国投資規模が縮小したことを受けて、8億9,200万台湾元で同22.68%の大幅減少となった。また対インドネシア輸出額も5.44%減となった(表3参照)。

 

二、今後の展望


国際原油価格の低迷、台湾経済の不況から2015年下半期の売上高は大幅減少

 台湾の各研究機構はそろって2015年の台湾経済の成長率を下方修正している。15年第2四半期における台湾化学製品の輸出受注は16.2%減少しており、石油化学産業の下半期の業績に影響を及ぼすだろう。また台湾では環境保護の意識が高まっており、石油化学産業の投資環境はさらに悪化しつつあるため、海外投資の比重が拡大している。台湾内需の弱まりを受けて、15年下半期の化学工業機械設備製造産業の売上高は大幅に減少する見通しだ。


2015年下半期は不況となるが、製薬機械の売上額は成長する見込み

 2015年下半期、本産業は不況となる見通しだ。しかし台湾の製薬業者が新製品開発、生産能力の拡大、戦略提携を積極的に進めている。大手原薬メーカーの台湾神隆(サイノファーム台湾)は、海外大手メーカー各社と戦略提携を結び、原薬から製薬までの垂直統合を目指している。15年、台湾神隆は5種類の原薬製品を発売した。さらに第3四半期には注射薬の生産ラインが試運転を開始する。中化合成生技(CCSB)、旭富製薬科技(SCIファームテク)、台燿化学、生泰合成工業など川下製薬各社も新製品の開発、生産能力拡充を推進している。これを受けて15年下半期の製薬機械の売上高は成長する見通しだ。

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