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【ワイズリサーチ】電子および半導体製品生産用機械設備製造業の
現況と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年10月15日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】電子および半導体製品生産用機械設備製造業の
現況と展望

記事番号:T00062928

一.産業の現況

1.2015年第2四半期、本産業の生産額と販売額は一部製品の輸入代替により前年同期比で成長を維持した。第3四半期の成長率は第2四半期を上回る見通し。

 2015年に入ってから台湾電子産業の投資規模は縮小している。経済部統計総処が発表した資料によると、15年第1半期は「電子部品製造業」および「コンピュータ・電子製品・光学製品製造業」の設備支出がそれぞれ前年同期比13.50%減、同22.03%減となった。主な原因は、レッドサプライチェーンの急増を受けて二次請け・三次請けメーカーの需要が減少し設備投資が減少したこと、また大手メーカーも設備調達を延期したことが挙げられる。しかし、電子産業が資本支出を抑えるために台湾で設備調達をしはじめたことに加えて、中国の電子産業が発展していることは台湾に商機をもたらし、本産業の輸出業績の成長をけん引している。これにより15年第1四半期における本産業の生産額は前年同期比11.51%増、販売額は同11.43%増となった。15年第2四半期は、電子産業の在庫が増加し出荷を先延ばしになったため、本産業の生産額は167億7,400万台湾元(同5.51%増)、販売額は173億5,200万台湾元(同7.83%増)で成長幅は緩やかになった(表1参照)。


 
15年下半期の見通しについては電子産業は在庫消化の問題を抱えており、台湾経済の成り行きも楽観視できないものの、上半期からずれこんだ受注分の製品を第3四半期に出荷できること、川下電子産業が一部設備を台湾で調達することなどから、第3四半期における本産業の生産額と販売額は前年同期比で成長を維持すると予測される。ただし、その成長幅はさらに緩やかになるだろう。

2.2015年第2四半期は「FPD生産設備および部品」を除いて各製品の販売額は成長

 2015年第2四半期は、台湾電子産業が一部製品を台湾で調達しはじめたことに加えて、中国電子産業の発展により設備需要が増加していることから、多くの製品の販売額が成長した。このうち「半導体生産設備および部品」の販売額は56億6,200万台湾元で前年同期比22.38%増となり大きく成長した。主な原因は、台湾積体電路(TSMC)の設備投資が14年の水準を上回ったこと、台湾の二次請け半導体メーカーがレッドサプライチェーンの影響を受け、コストダウンのために台湾で設備を調達しはじめたことが挙げられる。また「電子生産設備および部品」と「その他電子・半導体生産設備および部品」の販売額はそれぞれ同9.88%増と同4.00%増となった。一方、「FPD(フラットパネルディスプレイ)生産設備および部品」の販売額は26億1,100万台湾元にとどまり、同10.63%減となった(表2参照)。

 15年に入って友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)が設備投資を大幅に増加したものの、これは主に中国市場への投資目的であった。また中小型パネルメーカーもスマートフォン市場の成長不振を受けて、設備投資を減少させた。第3四半期は遅延している受注分の製品を出荷できることから、「半導体生産設備および部品」の販売額は前年同期比で成長する見通しだ。しかし比較対象となる数値が高いため、その成長幅は緩やかになると予測されている。また「電子生産設備および部品」と「その他電子・半導体生産設備および部品」の販売額は小幅成長を維持すると予想されている一方で、「FPD生産設備および部品」の販売額はマイナスが続くだろう。

3.2015年第2四半期、輸入額は前年同期から続いた低迷を抜け出したが輸出額は減少

 2015年第2四半期、台湾経済の成長は予測を下回り、電子産業は在庫が大幅増加した。15年初めから日本と欧州連合(EU)で量的金融緩和政策が実施されて円安とユーロ安が続き、電子産業メーカーは日本と欧州からの設備調達を増加させた。調達した設備は15年5月から台湾に到着しはじめたため本産業の輸入額は当月から増加し、前年同期比の成長率はプラスに転じた。これにより15年第2四半期における本産業の輸入額は845億1,800万台湾元で前年同期比0.03%増と小幅成長し、14年第2四半期から続いた低迷を脱することができた。

 輸出については、中国市場(香港を含む)が本産業の最大輸出相手国で、台湾の輸出業績は中国電子産業の発展の恩恵を受けている。しかし、対中国輸出額は14年第4四半期から15年第1四半期に大幅成長したものの、その後の成長は緩やかとなっている。さらに韓国とシンガポールからの調達も大幅減少したため、15年第2四半期の輸出額は減少した。幸い、米国、日本、ベトナム、オランダ、タイからの需要拡大によって、15年第2四半期の輸出額は94億8,800万台湾元で前年同期比6.47%減にとどまった(表3参照)。

 15年初めから台湾電子産業は円安・ユーロ安を受けて日本とヨーロッパからの設備調達を増加させている。中華民国税関の資料によると、15年7月の輸入額は前年同期比47.59%増となった。第3四半期の輸入額も成長を維持し、成長幅も伸びる見込みだ。輸出について、為替変動が激しいこと、さらに韓国とシンガポールからの調達が低迷していることを受けて、第3四半期の輸出額は引き続き減少するとの見通しだ。

 

二.景気の展望

 行政院主計総処の発表によれば、2015年第2四半期における台湾の経済成長率は0.52%と予測されている。電子産業は第2四半期に在庫が増加し、第3四半期に入ってからTSMCは在庫問題を改善できたものの、多くの電子産業メーカーは在庫過剰が続いている。このため電子産業メーカーは在庫消化を優先し、設備投資を縮小または延期している。さらに14年第4四半期における本産業の生産額と販売額が大幅成長し、比較対象となる数値が高くなったため、15年第4四半期の生産額と販売額の前年同期比でマイナスとなる見通しだ。

 2015年第4四半期は、電子産業メーカーが設備投資を減少または延期していることの影響を受けて、多くの製品の販売額が減少する見通しだ。このうち「FPD生産設備および部品」は、台湾パネルメーカーのトップ2社が15年の資本支出を増加させたものの、パネル市場が予想を下回っていること、メーカーが中国市場への事業展開を拡大していること、中小型パネルメーカーも資本支出を下方修正したことにより、販売が大きく減少する見通しだ。「電子生産設備および部品」、「その他電子・半導体生産設備および部品」も、台湾電子産業の設備ニーズが低迷している影響を受けて、販売額は減少すると思われる。一方、「半導体生産設備および部品」は、TSMCによる設備調達の恩恵を受けて販売額の前年同期比は成長を維持する見込みだが、成長幅は緩やかになる見通しだ。

 

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