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【ワイズリサーチ】台湾輸送機器設備製造業の概況と未来展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年10月22日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾輸送機器設備製造業の概況と未来展望

記事番号:T00062932

一.景気概況
 2015年初め、台湾の各研究機構は台湾経済今後の見通しを楽観視しており、それと同時に台湾のデパート、ホテルが改修・改装による需要増、製造業がインダストリー4.0による生産効率の向上が重視されることで自動化設備に対する需要増だ。また、海外の需要も増加し続けるため、15年1〜6月台湾輸送機器設備製造業の生産額および販売額はそれぞれ前年同期比8.50%増の164億3,900万台湾元と同8.93%増の164億500万台湾元だ(表1参照)。しかし、行政院主計総処が公表した資料によると、台湾の第2四半期経済成長率は僅か0.52%、15年通年の経済成長率も下方修正され、レッドサプライチェーンの台湾電子産業に対する脅威も強くなったため、企業の保守的な投資意欲が強まるだろう。また、8月から人民元切り下げによるアジア通貨安も本産業の輸出に影響したため、第3四半期本産業生産額・販売額の前年同期比は衰退する見通しだ。

二.製品別販売状況
 製品別から見ると、台湾国内の住宅着工数増及びデパート・ホテルの改修・改装工事により、15年1〜6月「リフト・エスカレーター」の販売額はそれぞれ前年比29.47%増の59億6,200万台湾元と同17.80%増の10億7300万台湾元に成長した。

 「コンベア」は製造業が自動化生産設備に対する需要の恩恵を受け、12年以降販売額の低迷により、比較対象となる実質値は低いため、販売額は同25.13%増の22億6,500万台湾元に成長した。しかし、15年に入ってから台湾国内製造業の受注数は減少し、15年1〜7月の輸出受注(単位:米ドル)は同2.05%減、製造工業生産指数は同1.81%の小幅成長である。このうち、15年5〜7月は衰退の傾向を見せ、工場の「スタッカー」に対する需要が大幅に減少したことにより、同年1〜6月「スタッカー」の販売額は同52.10%大幅減の4億9,900万台湾元にとどまり、「その他輸送設備と部品」も同1.30%減の小幅衰退を見せた(表2参照)。

 

三.輸出入概況

 輸入については、新築建築の完成に伴うリフトの需要増加及び台湾本産業生産額の成長に伴う関連部品の輸入需要が拡大したため、15年1〜8月本産業輸入額は同24.57%増の145億700万台湾元と14年に引き続き成長を見せた。また、トップ5位の輸入元国とその割合は、順に▽日本、45.24%▽中国(香港・マカオを除き)、29.61%▽米国、5.20%▽ドイツ、4.47%▽オランダ、3.00%ーであり、このうち、対オランダ輸入額は前年同期比小幅に減少したが、その他の国に対する輸入額はすべて大きい成長を示した。

 輸出については、中国の産業構造調整に伴う自動化設備への需要増加、米国の景気回復による不動産市場へのプラスの効果、台湾のリフト及び関連部品に対する調達も増加した。また、近年台湾メーカーと中国メーカーのベトナムへの投資拡大のため、ベトナムの台湾輸送機器産業への需要が増加した。そのため、15年1〜8月本産業輸出額は同6.90%増の148億9,700万台湾元となった。また、トップ5位の輸出先国とその割合は、順に▽中国(香港・マカオを除き)、36.59%▽米国、10.54%▽ベトナム、8.85%▽日本4.71%▽タイ、4.35%ーであり、このうち、中国、米国及びベトナムに対する輸出額は前年同期比それぞれ22.40%増、28.88%増と54.03%増である一方、日本とタイに対する輸出額は前年同期比それぞれ15.89%減と25.06%減となった(表3参照)。

 

四.主要メーカー運営概況
 永大機電工業(ヨンタイ・エンジニアリング)と崇友実業(ゴールデン・フレンズ)はリフトメーカーであり、このうち、永大機電工業は積極的に中国の二線都市(地方都市)の市場開拓に力を入れている。中国政府は近年、都市建設を推進しているため、二線都市のリフトに対する需要が増加し、同社は中国リフト市場における第5位のサプライヤーとなった。また中国政府が特種設備安全法を通過させたことにより、「設備の改造及びメンテはリフト製造単位より行うか、若しくはそれが委託した方法で行わなければならない。」を明確に規定した。これにより、同社が中国のリフトメンテ市場の成長をけん引していたが、比較対象となる実質値が高いため、同社15年1〜8月の連結売上高は154億7,800万台湾元で前年同期比4.64%の小幅成長にとどまった。一方、崇友実業は台湾の内需拡大の恩恵を受け、連結売上高は同42.89%の大幅成長を見せた。また、盟立自動化(MIRLE)と高僑自動化科技(テラ・オートテック)はパネルメーカーが資本支出を拡大した恩恵を受け、それぞれの連結売上高は同12.77%増の50億4,200万台湾元と54.83%増の8億2,300万台湾元となった。

 各社利益について、連結売上高が成長した恩恵を受け、かつ売上総利益の増加により、15年上半期において、永大機電工業、崇友実業、盟立自動化と高僑自動化科技4社の連結当期純利益は全て成長した。このうち、高僑自動化科技は台中科学園区工場を処分した利益が振込まれたため、同社の連結当期純利益は同477.43%増となった。崇友実業は売上総利益の増加及び営業費用は抑えたことにより、連結当期純利益は同63.89%増の2億8,300万台湾元となった(表4参照)。


 

五.未来展望

 行政院主計総処は15年通年台湾の経済成長率を下方修正したことや輸出受注及び製造工業生産指数は近頃そろって衰退したことが、経済景気が不振に転じる現状において、台湾製造業の投資意欲に悪影響をもたらすと予想しており、本産業の内需は縮小する見通しだ。また中国が最近公布した各項の経済指数はそろって衰退を示しており、台湾本産業に対する需要も減少するだろう。また米国利上げによりASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の為替相場が著しい影響を受け、台湾本産業に対する調達が減少した。内外需不振の影響を受け、15年第4四半期本産業販売額の前年同期比は衰退すると予想される。その上、比較対象となる実質値が高いため、衰退の幅は第3四半期より拡大するだろう。

 製品別について、内需縮小の影響を受け、15年第4四半期本産業における多数の製品の販売額の前年同期比は衰退する見通しだ。このうち、「コンベア」は14年第4四半期以来、販売好調が続き、比較対象となる実質値が高いため、販売額の前年同期比は明らかに衰退するだろう。また「グレーン」および「その他輸送設備及び部品」も比較対象となる実質値が高いため、全体的に衰退を見せるだろう。しかし、「リフト、エスカレーター」は既存建築のリフトを取り替える商機により、需要拡大は続くものの、伸び幅は緩やかになる見通しだ。

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